専門家の意見を無視し、誤った疾患概念を広めようとする → 国立国語研究所
2008年 10月 24日
医学の世界で長年議論し続けてきた「メタボリックシンドローム」を、その科学性を無視して、ある団体が簡単に定義してくれた
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“「メタボリックシンドローム」は「内臓の脂肪がたまって、病気を引き起こす状態」”
難解な医療用語 言い換え57案ピックアップ 国立国語研究所
http://sankei.jp.msn.com/life/education/081021/edc0810211829004-n1.htm
参考:「病院の言葉」を分かりやすくする提案:http://www.kokken.go.jp/byoin/
もともと、マルチプル・リスクファクターということで、ちょっとしたリスク要因が複数集まって動脈硬化を生じる、そういうリスク状況に基づいて定義されているものだと私などは解釈している。
その存在を肯定的に考え定義すれば、心血管疾患や糖尿病の単独のあつまりよりもより相互関連性のあるリスク要因としての集合体・・・ということになる(BMJ 2008;336:641 (22 March):http://intmed.exblog.jp/6922631/)。
ATP IIIでは、以下の、心血管疾患に関わる6つの要素を抜き書きしている。
(参考:NHLBI/AHA Conference Proceedings(Circulation 2004:109:433-438)
Abdominal obesity
Atherogenic dyslipidemia
Raised blood pressure
Insulin resistance ± glucose intolerance
Proinflammatory state
Prothrombotic state
すなわち、腹部脂肪だけを主体にした概念ではないのだ!
(この誤解誘導は住友病院のおっさんに負うところが大きい。)
医学用語の患者・家族へわかりやすい言い換えは、馬鹿官僚や天下りの非専門家から提言される代物ではなく、その疾患概念のフィロソフィーが伝わる言葉でなければいけない!
by internalmedicine | 2008-10-24 09:41 | くそ役人