生物学的製剤の安全性規制アクションの解析

Biologicals:生物学的製剤を訳しておこう




定義:
products of which the active substance is produced by or extracted from a biological source


”生物学に基づき生産、抽出された活性物質による製品”となるが、”生物由来の医薬品の総称であり、生物から得た材料から抽出された製剤、又は遺伝子工学的に培養細胞等から精製される製剤を呼ぶ。一般に高分子蛋白製剤である。”(薬食審査の資料から)という意味合いでとっても良いようだ。


US Food and Drug Administrationと European Medicines Agencyの安全性規制行動の性質、頻度、タイミングを解析

Giezen らが”Nature, frequency, and timing of safety-related regulatory action” を以下のごとく規定
(1) dear healthcare professional letters (United States) and direct healthcare professional communications (European Union),
(2) black box warnings (United States)
(3) safety-related marketing withdrawals (United States and European Union)
して解析


Safety-Related Regulatory Actions for Biologicals Approved in the United States and the European Union
JAMA. 2008;300(16):1887-1896.


USでは最初のbiologicalはrecombinant insulinであり、それ以降、250のbiologicalが、組み替え(血液)製品、、モノクローナル抗体ベース、組み替えワクチンなどである。
2003年、2006年では、それぞれ新規chemical entitiesの24%、22%の承認となっている。USでの売り上げとしては、2001年から2006年の間に20%ずつ年々増加し、6%から8%となっている。

174の生物学的製剤が承認(USで136、ヨーロッパで105、両地域承認67)
82の安全規則アクション(45は医療専門家レター、17は直接医療専門家伝達、19はblack box warningとして)が行われ174の生物学的製剤のうち41(23.6%)に及んだ

医療安全性アクションまでの確率をKaplan-Meier解析したところ、承認後、3年時点で14% (95% 信頼区間[CI], 9%-19%) 、10年時点で29%(95% CI, 20%-37%)



承認時期により新旧分類して比較すると、医療安全性アクションは、12.0/1000 vs 2.9/1000 月で、hazard ratio, 3.7 [95% CI, 1.5-9.5])

警告は一般疾患、投与部位、感染・侵入、免疫系疾患、腫瘍(良性・悪性)、分類不能に及ぶ




個人の軽堅から言えばイレッサの承認は早計だったとは私は思わない。なぜなら劇的効果があった事例がかなりあったのも事実。だが、慎重さが必要だったのかもしれない。薬害と騒いで薬剤使用に混乱を与える有害団体を利する事となってしまったのだから。

by internalmedicine | 2008-10-29 09:39 | 医療一般  

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