日医の裁判員制度に関する申し入れ

常軌を逸した医療上の判決が頻発しているので、裁判官などに近づき直接問いただす良い機会のような気もするが、日常臨床や地域医療に多大なる影響を与えることを考えれば、裁判員辞退は当然だろう。もし、無理強いするなら、強制により生じるであろう、様々なAdverse Eventに関して、国家的に責任を取ってもらわなければならないだろう。

日医の裁判員制度に関する申し入れが白クマ通信に記載されていた。

裁判員制度の施行にあたって、最高裁判所長官、法務大臣らに申し入れ
 ―羽生田俊常任理事

 羽生田俊常任理事は、11月5日の定例記者会見で、来年5月から始まる裁判員制度の施行にあたり、森英介法務大臣らに制度実施以後に医療現場に混乱が起きないよう、申し入れを行ったことを明らかにした。

 日医ではこれまで、平成21年5月21日から実施が予定されている裁判員制度の周知依頼に協力してきたが、都道府県医師会や会員等からは、地域医療を担う医師・医療従事者が裁判員候補者として指名を受けた際に、患者の診療上、やむを得ず辞退する場合の申し出の可否や手続き等をめぐる種々の質問・要望が多く寄せられている。

 羽生田常任理事は、裁判員制度では、医療関係者も例外ではなく、原則として、指名されればこれに応じる必要があるため、医療提供に問題等が生ずる恐れがある場合も考えられることから、これを理由に辞退しなければならないケースが多数予想されることに言及。そのうえで、「地域住民の生命、安心・安全を担う医師・医療従事者の使命に鑑み、個別具体的な辞退申し出事由について、十分な理解を得るために、最高裁判所長官、法務大臣などに対して、文書で申し入れを行った」とその経緯を述べた。

 また、同常任理事は、医師・医療従事者が患者の診療上やむを得ず辞退を申し出る場合の取り扱いについて、(1)前年の12月頃、裁判員候補者名簿登載者に送付される「調査票」、(2)具体的な事件の裁判員候補者に裁判の約6週間前に送付される「質問票」、(3)裁判の当日に行われる選任手続き―等の局面において、辞退を申し出ることができるとし、裁判員候補者として指名された者が、当該事件を担当する裁判所に対して個別に辞退理由を説明し、裁判官によって辞退の可否が決定されることを改めて説明した。

 最後に、同常任理事は、都道府県医師会、関係団体等にも申し入れを行った旨を通知して、裁判員制度へのさらなる理解と協力を求めていくと述べた。



「質問票」が最初のポイントだろう・・・これだと、書面申請だけですみそう。
質問票では、以下のような事項に関する質問をすることを検討しています。
(ア) 重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難であるか(裁判員法16条7号イ)、これを理由に辞退を希望するか。
(イ) 介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護又は養育を行う必要があるか(裁判員法16条7号ロ)、これを理由に辞退を希望するか。
(ウ) その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあるか(裁判員法16条7号ハ)、これを理由に辞退を希望するか。
(エ) 社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあるか(裁判員法16条7号ニ)、これを理由に辞退を希望するか。


上記(ア)~(エ)に明らかに該当すると判断できる場合に質問票の記載から、は、裁判所は、辞退を認めてその方の呼出しを取り消し、選任手続のためわざわ呼出取消しを希望されるざ裁判所までお越しいただかなくてもよいようにします。方には、その裏付けとなる資料を添付していただくことを検討しています。(http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/pdf/06_11_17_tetuzuki_image/tetuzuki_image.pdf


(ウ)の事例となるが、「ほかの人に代わってもらえるか」(代替性)と、「裁判員になることによって悪影響が発生するか」(影響)がポイントのようだ。

1)代替不可能ということをアピールする。主治医として多くの患者を持ち、代診などをする場合の弁済費用、代理医師を見つけることの困難さ、代診したときに他の医師では容易にできないだろう手技・知識などを有すること、もし休診や勤務休暇した場合に他医師に対して大変な影響を与えることをアピール
2)悪影響:仮に代診医をみつけたとしても、それによる不都合・・・悪性腫瘍患者や神経質な患者などへの対応が代理医師では困難とか、、高度な手技や診察法を自分が身につけていて同様なレベルの医者は少ないとか、もしかかりつけ患者に急変があったとき、駆けつけなければならない。学校医などでインフルエンザ流行に備えなければならない。学級閉鎖などの相談を受けなければならない。老人施設の嘱託をしており急変対処しなければならない。診断書(介護保険関連・医療保険関連・役所への提出書類・裁判所への書類など)が多くたまっており、その処理に要する時間を割けなくなる・・・




(追加)
http://www.ogihouritu.jp/saibanin.htm
裁判員を辞退するための具体的な方法につき、
私が考え、
裁判員を辞退したいと考えている方々へ提供することを
目的とするページです。

by internalmedicine | 2008-11-07 11:20 | くそ役人  

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