腎機能の急激な低下は高齢者では死亡率の重要なリスク要因


腎機能低下は老人の死亡率増加と相関する。だが、腎機能の長軸的減少は心血管・全原因死亡率増加の独立した因子なのか不明である。
Cardiovascular Health Studyの解析において、Rifkinらは、7年フォローアップのeGFR(cystatin Cやクレアチニン・ベースによる)の変化を検討した。
腎機能の低下率(>mL/min/1.73 m2)と死亡率の相関を検討した。
高齢者の場合、急激な腎機能低下は50-70%心血管・全原因死亡率と相関し、ベースラインの腎機能や他の人口動態的指標と独立していた。
この結果は、ベースラインの腎機能だけでなく、腎機能の変化も老人の場合は重要で、死亡率の重要なリスク要因となるということを意味している。



Rapid Kidney Function Decline and Mortality Risk in Older Adults
Arch Intern Med. 2008;168(20):2212-2218.

Cardiovascular Health Studyは住民ベースの1989-1993まで参入したUSの4コミュニティーでの高齢者研究で2005年まで続けれらた。
4380の参加者で、eGFRの年次減少スロープを推定(sCrによるeGFRcreatとcystatin CによるeGFRcys)
急激なeGFRの減少の定義は、3mL/min/1.73 m2/年でとした。
eGFRによる急激減少群t (n = 714; 16%) は心血管疾患死亡リスク増加と関連(補正ハザード比 [AHR], 1.70; 95% 信頼区間 [CI], 1.40-2.06) 、全原因死亡リスクも同様(AHR, 1.73; 95% CI, 1.54-1.94)
eGFRcys(n=1083; 25%)も心血管疾患リスク増加 (AHR, 1.53; 95% CI, 1.29-1.80) 、全原因死亡リスク増加 (AHR, 1.53; 95% CI, 1.38-1.69)と相関。
eGFRの急激な低下と死亡率リスクの相関はベースラインの腎機能、年齢、性別、人種、冠動脈基礎疾患によるサブグループ間で異ならない。



老人を見ていると、筋肉量が減少するため、Crで推定すると、筋肉脆弱性要因が関与する可能性がある。cystatin CによるeGFRも検討しているため、それを凌駕して腎機能低下が寄与していることが判明した。

by internalmedicine | 2008-11-11 09:21 | 動脈硬化/循環器

 

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