JUPITER:非高脂血症・hsCRP高値例でのスタチン使用で、心血管イベント予防効果あり
2008年 11月 11日
Justification for the Use of Statins in Prevention: an Interventional Trial Evaluating Rosuvastatin (JUPITER) 研究
Journal Watchの評論を主体に記述する
Rosuvastatin to Prevent Vascular Events in Men and Women with Elevated C-Reactive Protein
www.nejm.org November 9, 2008 (10.1056/NEJMoa0807646)
hs CRP 値 ≥2 mg/Lで、非高コレステロール血症(LDL levels <130 mg/dL)対象に、89890名の男女研究組み入れ、17802名をrosvastatin(20mg/日)とプラセボにランダム割り付け。1.9年のフォローアップ中央値後終了、プライマリエンドポイント(nonfatal MI, nonfatal stroke, hospitalization for unstable angina, arterial-revascularization procedure, or confirmed death from cardiovascular causes)の有意な減少を認めたため早期中止
rosuvastatin群では、12ヶ月後時点での中央値LDL値は55mg/dL、hsCRPは2.2mg/L
プラセボ群はLDL 110mg/dL、hsCRP 3.5mg/L
包括的に見れば、プライマリエンドポイントはrosuvastatin群で0.77/100人年でプラセボ1.36/100人年 (P<0.00001)
rosuvastatin群はプライマリエンドポイント構成要素個々でも有意な相対的低下が見られる
全原因死亡率:1.00/100人年 vs 1.25/100人年。そして、ハザード比は、性別・各サブグループ全般のrosuvastatin群が良好。副作用に関してどの群間でも重症のものの差は見られない。Kaplan-Meierを用いると、プライマリエンドポイントによるNNT(2年)は95名であり、5年治療だと25となるだろう。
”JUPITERにて、スタチン治療は有意な心血管イベントの相対的リスク減少をもたらした。しかし、コスト・ベネフィットを考え、絶対的差が重要である。JUPITERの結果はhsCRP値にかかわらず結論的でないことを重視したい”という慎重なJournal Watch誌の概要コメントである。
拙速な専門家のコメントが日本で出ないことを願う!
by internalmedicine | 2008-11-11 15:47 | 動脈硬化/循環器