2型糖尿病：遺伝子タイプスコアでは発症予測に関する付加的価値限定的

テレビなどでは、遺伝子型により何でもわかるなんて・・・妄想がひろがってるようだ。単遺伝子病と多要素疾患の区別もせずに、低俗、低レベルの情報を垂れ流しする書籍すら存在する。

判明している遺伝子異常に関して、糖尿病発症リスクに関わる価値・・・って、以下の報告をみれば、現時点では、限定的で少ないと言わざる得ないだろう。

Clinical Risk Factors, DNA Variants, and Diabetes
N Engl J Med. Vol. 359:(21)2208-2219 Nov. 20, 2008

18の遺伝子座においてSNPｓをgenotype化し、2377名のFramingham Offspring Study参加者で糖尿病との関連を調べたもの
リスクalleleの数から遺伝子タイプスコアを作り、C統計によるロジスティック回帰を用いて臨床的リスク因子に加えてみて、糖尿病リスク判別を行ったもの

１６のSNPsを決定し、臨床的要素を２つのスカンジナビアコホートを２３．５年間中央値で行い、2型糖尿病１１．７％発症

遺伝子型スコア平均値は、17.7±2.7（SD) (P<0.001)
性補正オッズ比は1．12/risk allel（９５％信頼区間 1.07-1.17)

C統計は遺伝子タイプスコア無しで0.534、ありで0.581であった。

性別・自己報告糖尿病家族歴補正にて、遺伝子タイプなしで0.595、スコアありで0.615であった (P=0.11)

年齢、性別、家族歴、BMI、空腹時血糖値、SBP、HDLコレステロール、TG補正モデルでは、C統計は、遺伝子スコアなしで0.900、遺伝子スコアありで0.901(P=0.49)

遺伝子スコアは４％ほどリスク再分類に関与という結果であった。

結論としては、現行で把握されている遺伝的リスク要因の多くはインスリン分泌増加ももたらすβ細胞の能力を障害するものであるが、遺伝子リスク要素の把握を追加したリスクモデルではやや2型糖尿病予測を改善するにとどまる。

生活習慣病たる所以ですね・・・