JUPITERトライアルをいかに解釈するか?
2008年 11月 20日
JUPITER:非高脂血症・hsCRP高値例でのスタチン使用で、心血管イベント予防効果あり 2008年 11月 11日
NEJMで意見募集中である。
http://www.nejm.org/clinical-directions/jupiter-statins-trial/
CRPは虚血性血管疾患の原因ではない:mendelian randomization法による解析 2008年 10月 30日・・・というのもあり、解釈は単純ではないのかもしれない
高脂血症患者ではスタチン治療で、心血管疾患病歴のない対象でも心血管リスクを減少させる(N Engl J Med 1995;333:1301-7.)。だが、初回発症心血管イベント患者のほぼ半数がLDLが脂質低下治療の閾値未満である(Circulation 2002;106:3143-421. Circulation 2004;110:227-39. N Engl J Med 2002;347:1557-65.)。故に、リスクにある患者をいかに同定すべきかどうか改めて再定義して、リスク減少介入能力を考慮することが求められつつある。
Justification for the Use of Statins in Primary Prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin (JUPITER; ClinicalTrials.gov number, NCT00239681) が発表されたが、そのとき、hs CRPによる住民対象治療の選別化という新しいアプローチが採用された。
このアプローチは2つの観察事象:hs CRPが独立した心血管イベントの予測因子であること(N Engl J Med 2004;351:2599-610.)、スタチンがhsCRP、LDLコレステロールを低下させるということ(Circulation 1999;100:230-5. JAMA 2001;286:64-70.)に基づいている。
日本では、自由診療下で”hs-CRP測定して、クレストール投与”というアンチエイジング・クリニックに正当性があるか、高"hs-CRP"というのを健保適用下にしてはたしてベネフィットがあるのか?・・・などと置き換えて考えてみる。
NNT(ARR)などを勘案して、その正当性を考えるべきと思うのだが・・・各種講演会でおえらいさんがまた変なミスリードをしないか心配だ
by internalmedicine | 2008-11-20 09:21 | 動脈硬化/循環器