米国国家的薬剤性肝障害調査研究:DILIN 抗生剤が多い、サプリメントも多い

まだ、onlineでは公表されてない?

ソース:Eurerkalert.org(http://www.eurekalert.org/pub_releases/2008-12/aga-asl112508.php)

Drug-Induced Liver Injury Network :http://dilin.dcri.duke.edu/に詳細が書かれている。

National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases (http://www2.niddk.nih.gov/)が行っている研究

現場にすべて責任を押しつけるどこぞの厚労省とはえらく違う・・・積極的な対応だ

Gastroenterology誌に、抗生物質が一番多くidiosyncratic drug-induced liver injury (DILI)を生じることが報告された。DILIが急性肝不全死亡の最頻度原因として、約13%で、他、処方薬・非処方薬・栄養サプリメント・生薬など広汎な原因によると報告。
前向き進行中多施設観察研究で、DILI疑診例を事前定義判定で参画させ、最低6ヶ月フォロー。DILIは処方薬剤単一原因73%、サプリメント食品単一原因9%、複数原因18%
100種超の原因がDILIと関連。抗生剤 45.5%、中枢神経薬剤15%で最も多い。
サプリメント食品は、体重減少や筋肉増強薬剤がそのうちの60%近くであった。DILI患者の少なくとも20%は少なくとも一つは肝毒性の可能性有る物質を服用していた。

DILIはまだ除外診断であり、他の肝障害原因となるものを除外したあとなされるべき診断名である。急性C型肝炎はHCV RNA検査にて注意深く除外されるべきである。研究者たちはこの報告では性別とDILI重症度の総監を見いだせていない。より重症のDILIは糖尿病を有する人達であった。



Outcome of acute idiosyncratic drug-induced liver injury: Long-term follow-up in a hepatotoxicity registry.
Hepatology. 2006 Dec;44(6):1581-8.

Drug-induced liver injury: an analysis of 461 incidences submitted to the Spanish registry over a 10-year period.
Gastroenterology. 2005 Aug;129(2):512-21.

Idiosyncratic drug-induced liver injury: an overview.
Expert Opin Drug Saf. 2007 Nov;6(6):673-84.

Drug-induced liver injury (DILI)は軽症な生化学異常から急性肝不全まで広汎な臨床的なスペクトラムである。副作用肝障害の大多数はidiosyncratic(固有)であり、原因と思われる薬物投与後5-90日で発症するという特徴をもつ。DILIの診断は臨床的、病歴、疑惑薬剤の可能性に基づき行われる。DILIは肝細胞障害型(主にALT増加)、胆汁鬱滞型(主にALP増加)、混合型肝障害である
肝細胞障害を有する状態で、ビリルビン値が正常上限の2倍以上の場合は重症DILIを示唆する。その死亡率は10%で、10万人対0.7-1.3の頻度である。
急性肝不全は稀だが、急性肝不全の13-17%が特有薬剤副作用反応に関連している。
薬剤中止によっても1年間胆汁鬱滞型肝障害は遷延化し、時にvanishing bile duct syndromeとして知られる胆汁鬱滞を示す事がある。さらに、慢性疾患が薬剤中止しても6%まで生じる。
抗生物質とNSAIDsが、DILIの原因としてもっとも多い。
スタチンは稀だが有意に原因となり、抗レトロウィルス治療は10%ほど肝障害が見られる。
DILIは多くの機序が関係しており、たとえば、TNF-α活性化apoptosis、ミトコンドリア機能抑制、neoantigen形成などで、リスク要因には年齢、性別、遺伝子多形型、cytochrome P450などが関連する。HIV感染患者では、慢性ウィルス感染の存在が抗ウィルス薬による肝障害リスクを増加させる。
今後10年、DILIの正確な症例把握を臨床的ネットワーク、genomics・proteomicsを利用してDILIのリスクを正確に同定することなどに役立て、薬物治療に関して副作用イベントを回避できるようにする方向にしようとしている。



薬剤性肝障害というと、処方薬剤のみを目の敵にするが、OTC、生薬・サプリメントに注意が必要だろう。

by internalmedicine | 2008-12-02 11:04 | 消化器  

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