システマティックレビュー:先発医薬品と置換不能のジェネリック医薬品が一定程度存在する

循環器系薬剤において、一般的に、先発医薬品がジェネリック医薬品に勝るということは言えないが、置換不可といえるジェネリック医薬品が存在するという話。エディター達の半分はそのままのジェネリック医薬品置き換えに否定的見解を示している。


Clinical Equivalence of Generic and Brand-Name Drugs Used in Cardiovascular Disease
A Systematic Review and Meta-analysis
JAMA. 2008;300(21):2514-2526.
9種の循環器系薬剤サブクラスをカバーした47文献をデータベースから検出し、そのうち38(81%)はランダム化対照トライアル
臨床的同等性はベータ遮断剤で7/7(100%)、利尿剤で10/11(91%)、カルシウム拮抗剤で5/7(71%)、抗血小板剤3/3(100%)、スタチン2/2(100%)、ACE阻害剤1/1(100%)、抗不整脈剤1/1(100%)

狭い治療指数薬剤間では、臨床的同等性は抗不整脈1/1(100%)、ワーファリンで5/5(100%)であった。

Aggregate effect size (n = 837) では –0.03 (95% 信頼区間, –0.15 ~ 0.08)で、ジェネリック医薬品に比べる先発品の優位性のエビデンスはなかった。

43エディトリアルで、23(53%)はジェネリック薬剤の否定的見方であった。




(朝日10月11日)
「後発医薬品は品質劣る」と中傷 先発の会社 取引妨害か 公取、業界に中止要請
 新薬の特許が切れた後に同じ成分で開発し、価格を安く抑えた後発医薬品(ジェネリック医薬品)について、先発品メーカーが医療機関に営業活動をする際、品質が劣ったり、製造上の欠陥が多かったりするかのような不適切な説明をする例があることが公正取引委員会の調査でわかった。公取委は独占薬止法が禁じる不公正な取引方法(取引妨害)にあたるおそれがあるとして製薬業界団体などにこうした行為をしないよう要斉した。 (引用:http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ugoki/ugoki_06/ugoki_06_10.html


”ジェネリック医薬品は全てが先発品と同等でない”というJAMAという権威ある雑誌にエビデンスレベルの高い報告が出たわけだが、これでも、公取委は取引妨害と脅しをかける・・・公取委の方が公正な取引を妨害していると思える

公正な取引をさせたいなら、生データを出させて、公の立場でガチンコ比較を求めて、消費者に選ばさせる土壌を作るのが本来の公取委の立場ではないか!・・・立場がわかってないのではないか! 公取委。先発医薬品の優越性を宣伝させない情報の非対称を促進させている公取委。立場をわきまえていないのである。


少なくとも対象のカルシウム拮抗剤ではジェネリック医薬品に関する報告では同等性が否定されている報告がある。

未だに医師の金儲けのため・・・ジェネリックを批判しているという人がいる。後発品に代えて明らかに治療効果が同等でないと感じる経験が蓄積しているから、そのまんまの代替は不可と主張しているのだ。

by internalmedicine | 2008-12-03 07:14 | くそ役人  

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