患者の安全のためとレジデント教育のためのIOM推奨事項
2008年 12月 04日
Revisiting Duty-Hour Limits — IOM Recommendations for Patient Safety and Resident Education
www.nejm.org December 3, 2008 (10.1056/NEJMp0808736)
12月2日、IOM(Institute of Medicine)は、充分な教育プログラム確保しながら患者・被訓練者の安全環境とするため病院がすべき推奨報告を発行した。しかし、John Iglehartは、IOMはこの推奨導入には2つの大きな障壁、すなわちコストと、医療専門家数確保が存在すると認めている。
今回の変更事項
・週毎の最大労働時間: 30時間(4週間平均) → 変化無し
・最大労働時間: 30時間(患者対応 24時間まで、移動・教育時間に6時間) → 30時間(患者対応16時間まで、午後10時から午前8時まで睡眠時間5時間確保、残りは移動時間・教育時間
・最大病院オンコール回数: 3夜毎、平均 → 3夜毎、非平均
・スケジュールシフト間の最少オフ時間: シフト後10時間 → シフト日後10時間、夜間シフト後12時間、30時間の延長duty時間後は14時間で、翌日午前6時を含まない
・病院夜間シフト最大回数: 該当項目無し → 連続duty第3-4夜後は48時間オフ
・自発休暇: 月当たり4回、平均4週でも可・週毎1日(24時間) → 月5日、週毎1日(非平均)、月当たり48時間の連続が必要
・Moonlighting(アルバイト):内部バイトを含め週上限80時間 →内部・外部バイトを含め上限週80時間、全ての他の義務時間適応を含める
・例外時間上限: sound educational rationaleに基づいて選択プログラム88時間 → 不変
・ER上限: 12時間限度、シフト間off時間と最小限同等であるべきで、60時間労働には追加的に12時間教育が必要
大学とか研修医に接触する機会が無くなった開業医なので・・・ぴんとこないのだが、アメリカも日本も共通の部分があるのだろう。
わたしらが学生だった頃、研修システムは今よりはるかに稚拙だったことはたしか。でも、研修医が医療システムに大きく関わっていたわけだからその分が抜け落ちる影響を過少評価しすぎていたのではないか・・・今の医師不足のかなりの部分は、ただでさえ構造異常を生じていたところに、研修システムの急激な導入が、致命的損傷を与えたと思う。
役人といい、教授あがりのお偉いさんといい、現場を知らない人が実証的なことをせず、机上の空論をならべたてて、医療の崩壊に荷担させた人々がいたことも確か
臨床研修制度の経緯:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/rinsyo/keii/index.html
だが、日本の一番の問題点は一般勤務医師の多忙さであろう。レジデントは研修制度で守られる部分があるが、一般勤務医師はまもられてない。
外来患者や救急外来をしているのに、「宿直業務」として過剰違法業務を容認している、”厚生労働省”・・・司法に問題を提起しなければおそらく、この実態は変化しないだろう。
人的資源の集中化と効率化が必要で、そのために、予算も必要なのである。
マスコミが反転社会保障削減に賛成しているのは私には理解しかねる現象である。
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09税・財政:政府予算方針 財政再建、大幅に後退
◇社会保障費と公共事業費、与党から歳出圧
http://mainichi.jp/select/biz/news/20081204ddm008020099000c.html社会保障費の抑制は事実上の棚上げに向けた作業が進む。雇用保険への国庫負担削減や後発医薬品の利用促進など、比較的抵抗が少ない分野での歳出抑制策だけでは2200億円に足りないため、たばこ税増税で1000億円分を穴埋めするシナリオだ。しかし、与党の税制調査会では景気悪化を理由にたばこ税増税に慎重な意見も根強い。財源確保のめどが立たないまま、社会保障費抑制の方針だけが撤回される可能性もある。【清水憲司】
毎日新聞・新聞記者とNHK解説委員、フジテレビ黒岩の医者嫌いはデフォだと思うが、他の報道機関も社会保障費削減でほんとに医療ができるとおもっているのだろうか?
by internalmedicine | 2008-12-04 11:42 | くそ役人