卒中後の急性期降圧治療の是非:CHHIPSトライアル


MINDSに掲載のクリニカル・クエスチョン
Q:脳梗塞の急性期には、どのくらいの血圧値で点滴による降圧療法を行うか?
02.急性期-循環管理(小林)
推奨(ガイドライン)
a脳梗塞急性期は、解離性大動脈瘤、急性心筋梗塞、高血圧性脳症などを合併していない限り原則的に降圧療法は推奨できない(グレードC)。
b収縮期血圧220mmHg以上、または拡張期血圧121mmHg以上、または平均血圧130mmHg以上の過度の高血圧では点滴による降圧療法を考慮する(グレードC)。
c血栓溶解療法を予定する患者では、一定のレベルまで降圧することが推奨される(グレードB)。


これより対象がひろがる、収縮期血圧>160 mm Hgを対象としたものの話

卒中患者の多くは、受診時血圧高値である。最良の高血圧マネージメントは不明で、急性の卒中時の血圧降下が有害性が有るかどうかが問題となっている(この未確定な事象にかかわらず、日本では、医療側が時に敗訴するという不可思議な現象が起きるし、敗訴しなくても、医療機関・医療関係者に非常に負担をかける医療冤罪が生じる源となっている)
出血性・虚血性患者で、収縮期血圧160 mm Hg超の患者に、lisinopril か labetolol か もしくはプラセボ投与を行った。
2週めの死亡率・dependency rateは治療群もプラセボ群も同様で、急性卒中後の血圧降下治療は安全ということが示唆される。
3ヶ月後の死亡率は治療群の方が低いが、小サンプルサイズなので解釈上、注意が必要



Controlling hypertension and hypotension immediately post-stroke (CHHIPS): a randomised, placebo-controlled, double-blind pilot trial
The Lancet Neurology, Early Online Publication, 4 December 2008 doi:10.1016/S1474-4422(08)70263-1
【背景】血圧増加は急性卒中後通常見られ、予後不良と関連する。血圧降下治療のfeasibility、安全性、効果を検討したもの
【方法】脳梗塞・脳内出血患者に高血圧(収縮期血圧[SBP] >160 mm Hg)を、嚥下異常がなく、labetalol点滴、舌下lisinoprilやプラセボを用いてないというのを条件にランダムに経口 labetalol、lisinopril、プラセボに割り当てた。
投与量は血圧目標値が到達してなければtitrateする。ITT解析。
【結果】179名の患者(平均年齢74[SD 11]歳; SBP 181 [SD 16] mm Hg; DBP 95 [SD 16] mm Hg; median National Institutes of Health stroke scale [NIHSS] score 9 [IQR 5—16] points)をランダムに割り付け
・labetolol (n=58)
・lisinopril (n=58)
・placebo (n=63)
(January, 2005~December, 2007)

プライマリアウトカムである死亡と2週めのdependencyは、積極的治療群で61%(69)、プラセボ群で59%(35)(相対リスク [RR] 1·03, 95% CI 0·80—1·33; p=0·82)

病初期24時間のSBPが低下 (21 [17—25] mm Hg vs 11 [5—17] mm Hg; p=0·004)するにもかかわらず、積極的治療群の早期神経学的異常悪化のエビデンス無し (RR 1·22, 0·33—4·54; p=0·76)
重篤な副事象イベントの増加は積極治療群で見られない
No increase in serious adverse events was reported with active treatment (RR 0·91, 0·69—1·12; p=0·50)
しかし、3ヶ月死亡率は半減している(9·7% vs 20·3%, hazard ratio [HR] 0·40, 95% CI 0·2—1·0; p=0·05).
【結論】Labetalolとlisinoprilは急性卒中に対して有効な降圧治療剤であり、副事象イベントを増加させない。急性卒中後のlisinoprilとlabetalolの早期降圧は死亡率やその後のdisabilityに対して有望な治療法のようである。しかし、小サンプルサイズからみて、治療はこの結果を解釈するときには注意が必要で、大規模トライアルの評価が必要


逆に、降圧治療しなかったといって、これからは医療冤罪が発生?

by internalmedicine | 2008-12-06 09:53 | 運動系  

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