薬剤相互作用:他処方薬剤・OTC・サプリメント
2008年 12月 24日
多剤投与の場合のペナルティーという不思議な診療報酬体制は放置のまま
たとえば、”糖尿病合併症・腎症・神経障害、高血圧症、虚血性心疾患、脂質代謝異常”という病態は稀ならずあるのだし、相互作用を考えながらの処方は、それなりの配慮が必要なのである。重症患者を診るほど診療報酬が下がるという矛盾
禁忌薬物以外の相互作用に関して、薬剤師や調剤薬局の機能がほとんど働いてないと感じるのはうちらの地域だけか?・・・調剤薬局の働きは単に取り扱い製品への誘導が主なのではと・・・チェーン薬局の薬剤師に不信は深まるだけ・・調剤システムってのは、医療費をかさ上げしただけという批判に厚労省は耳を傾けないようだが、実効性をもう一度吟味すべきだろう。
OTCなどのネット販売が今話題になっているが、薬剤相互作用を使用者が理解できるのだろうか?ネット業者がウラで括約するネット販売促進活動には問題点が多いと感じる。
納豆菌製品・クロレラ・青汁・セイヨウオトギリソウ、アスピリンなどのNSAIDsなど、今度はメバロチンOTC化も控えている・・・ますます問題は複雑化していく・・・
Use of Prescription and Over-the-counter Medications and Dietary Supplements Among Older Adults in the United States
JAMA. 2008;300(24):2867-2878.
未重みづけsurvey回答率は74.8%(重みづけ回答率は75.5%)
少なくとも一つの薬物使用:81%(95%信頼区間[CI], 79.4%-83.5%)
少なくとも一つのOTC使用: 42%(95% CI, 39.7%-44.8%)
少なくとも一つの食事サプリメント使用:49% (95% CI, 46.2%-52.7%)
少なくとも同時5処方薬剤使用:29%(95%CI, 26.6%-30.6%)
これは、75-85歳の男性(37.1%; 95% CI, 31.7%-42.4%) 、女性(36.0%; 95% CI, 30.2%-41.9%) で多い
処方医薬品使用者のうち、OTCの同時使用は46% (95% CI, 43.4%-49.1%)
サプリメント同時使用は52%(95% CI, 48.8%-55.5%)
包括的にいえば、4%で重大な薬剤相互作用リスクをもち、半数が非処方医薬品の関連するものである
これらのレジメンはもっとも男性高齢者に多く(10%; 95% CI, 6.4%-13.7%)、半数近くは抗凝固薬であった。
禁忌同時薬剤は認めなかった
最高年齢老人では男性が(10%; CI 6.4% to 13.7%) で多く、アスピリンのような抗血小板薬や抗凝固薬といった心血管系薬剤が約半数
食事性サプリメントで多いのはマルチビタミンやビタミン+ミネラル類
心血管健康改善を期待する代替治療、たとえばω3脂肪酸、ガーリック、CoQなどは広く用いられている。若年者では少ない。
前年代を通して、カルシウム、ビタミンD、グルコサミン・コンドロイチンサプリメントが女性で多く、男性ではナイアシンが多い。
包括的にいえば、68%近くがOTC薬剤、食事サプリメント、その両者を使用
46の薬剤相互作用の組み合わせが指摘され、処方相互作用、albuterolとatenololのの組み合わせによる薬剤効果減弱、ワーファリンとsimvastatinの組み合わせによる出血リスク増加
老人では5種類以上の場合はその相互作用の可能性が高くなると、研究者たちは述べている。
たとえば、ワーファリン →http://www2.eisai.co.jp/essential/wf/index.html
催眠鎮静剤抱水クロラール抱水クロラ-ル「ホエイ」、他
トリクロホスナトリウムトリクロリール
抗てんかん剤バルプロ酸ナトリウムデパケン、他
ヒダントイン系製剤(フェニトイン*等)アレビアチン、ヒダントール、他
解熱鎮痛消炎剤アスピリンアスピリン、他
アセトアミノフェンピリナジン、アンヒバ、他
イブプロフェンブルフェン、他
インドメタシンインダシン、インテバン、他
塩酸トラマドールトラマール
ケトプロフェンカピステン、オルヂス、他
サリチル酸類アスピリン、他
スリンダククリノリル、他
セレコキシブセレコックス
ピロキシカムフェルデン、バキソ、他
フェノプロフェン
ブコロームパラミヂン
フルルビプロフェンフロベン、他
メフェナム酸ポンタール、他
精神神経用剤塩酸メチルフェニデートリタリン
三環系抗うつ剤トリプタノ-ル、他
パロキセチンパキシル
マレイン酸フルボキサミンデプロメール、ルボックス
モノアミン酸化酵素阻害剤
不整脈用剤アミオダロンアンカロン
塩酸プロパフェノンプロノン、他
硫酸キニジン硫酸キニジン、他
利尿剤エタクリン酸
高脂血症用剤シンバスタチンリポバス、他
デキストラン硫酸ナトリウムMDS、他
フィブラート系製剤
(クリノフィブラート)リポクリン、他
(クロフィブラート)クロフィブラ-ト、他
(フェノフィブラート)トライコア、他
(ベザフィブラート)ベザトールSR、ベザリップ、他
フルバスタチンナトリウムローコール
ロスバスタチンカルシウムクレストール
消化性潰瘍用剤オメプラゾールオメプラール、オメプラゾン、他
シメチジンタガメット、他
●作用を増強する薬剤・飲食物 ②*相互に作用が増強されることがある。**増強、減弱いずれも報告のあるもの。
薬効分類成分名商品名
ホルモン剤抗甲状腺製剤メルカゾール、他
甲状腺製剤チラ-ヂン、他
ダナゾールボンゾール、他
蛋白同化ステロイドメサノロン、他
痔疾用剤トリベノシドヘモクロン、他
抗血栓剤血液凝固阻止剤
(ヘパリン)ノボ・ヘパリン、他
(低分子量ヘパリン)フラグミン、他
アルガトロバンノバスタン、スロンノン、他
フォンダパリヌクスナトリウムアリクストラ
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
(イコサペント酸エチル)エパデール、他
(塩酸サルポグレラート)アンプラーグ
(塩酸チクロピジン)パナルジン、他
(オザグレルナトリウム)キサンボン、カタクロット、他
(シロスタゾール)プレタール、他
(ベラプロストナトリウム)ドルナー、プロサイリン、他
(リマプロストアルファデクス)オパルモン、プロレナール、他
(硫酸クロピドグレル)プラビックス
血栓溶解剤
(ウロキナーゼ)ウロキナーゼ、他
(t-PA製剤等)アクチバシン、クリアクター、他
乾燥濃縮人活性化プロテインCアナクトC
バトロキソビンデフィブラーゼ
痛風治療剤アロプリノールザイロリック、アロシトール、他
プロベネシドベネシッド
ベンズブロマロンユリノーム、他
酵素製剤プロナーゼエンピナース、他
ブロメラインキモタブ、他
糖尿病用剤スルフォニル尿素系糖尿病用剤
(クロルプロパミド*)アベマイド
(トルブタミド*)ブタマイド、他
抗腫瘍剤アザチオプリン**イムラン、アザニン
クエン酸タモキシフェンノルバデックス、他
クエン酸トレミフェンフェアストン
ゲフィチニブイレッサ
フルオロウラシル系製剤及びその配合剤
(カペシタビン)ゼローダ
(テガフール)フトラフール、他
(フルオロウラシル) 5-FU、他
(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)ティーエスワン
フルタミドオダイン、他
メシル酸イマチニブグリベック
メルカプトプリン**ロイケリン
●作用を増強する薬剤・飲食物 ③**増強、減弱いずれも報告のあるもの。
薬効分類成分名商品名
抗生物質製剤アミノグリコシド系
クロラムフェニコール系クロロマイセチン、他
セフェム系セフゾン
テトラサイクリン系アクロマイシン、ビブラマイシン
ペニシリン系アモキシシリン、ビクシリン、他
マクロライド系エリスロシン、他
化学療法剤アミノサリチル酸類ニッパスカルシウム、他
イソニアジドイスコチン、他
キノロン系
(塩酸シプロフロキサシン)シプロキサン、他
(オフロキサシン)タリビッド
(ナリジクス酸)ウイントマイロン、他
(ノルフロキサシン)バクシダール、他
(レボフロキサシン)クラビット
サルファ剤サラゾピリン、他
抗真菌剤アゾール系抗真菌剤
(イトラコナゾール)イトリゾール、他
(フルコナゾール)ジフルカン、他
(ボリコナゾール)ブイフェンド
(ミコナゾール)フロリード、他
抗ウイルス剤HIVプロテアーゼ阻害剤
(アンプレナビル)レクシヴァ
(サキナビル)フォートベイス
(メシル酸サキナビル)インビラーゼ
(メシル酸デラビルジン)レスクリプター
(リトナビル)ノービア
抗原虫剤キニーネ塩酸キニーネ、他
メトロニダゾールフラジール、他
その他の医薬品イプリフラボンオステン、他
インターフェロンスミフェロン、オーアイエフ、他
オザグレルベガ、ドメナン、カタクロット、他
グルカゴン注射用グルカゴンGノボ、他
ザフィルルカストアコレート
ジスルフィラムノックビン
トラニラストリザベン、他
レフルノミドアラバ
飲食物アルコール**
●作用を減弱する薬剤・飲食物**増強、減弱いずれも報告のあるもの。
薬効分類成分名商品名
催眠鎮静剤バルビツール酸誘導体バルビタール、イソミタール、フェノバール、他
抗てんかん剤カルバマゼピンテグレトール、他
プリミドンプリミドン
精神神経用剤塩酸トラゾドンデジレル、他
高脂血症用剤コレスチラミンクエストラン
ホルモン剤副腎皮質ホルモンリンデロン、ソル・メドロ-ル、コ-トン、他
抗腫瘍剤アザチオプリン**イムラン、アザニン
メルカプトプリン**ロイケリン
抗生物質製剤グリセオフルビングリセオフルビンSG、グリセチンV、ポンシルFP
リファンピシンリファジン、リマクタン、他
その他の医薬品ビタミンK含有製剤ケイツー、グラケー、ケーワン、カチーフN、他
ボセンタン水和物トラクリア
飲食物アルコール**
セント・ジョーンズ・ワート
(St.John's Wort.セイヨウオトギリソウ)含有食品
ビタミンK含有食品
(納豆、クロレラ食品、青汁 等)
●相手薬剤の作用増強***動物実験でオーラノフィンの急性毒性が増強されたとの報告がある。
薬効分類成分名商品名
刺激療法剤オーラノフィン***リドーラ、他
昨日読売系テレビで九州ローカルで今年の重大事件なるものをやってたが、解説者がまったくの浅はかな知識で、”小泉による医師数制限が医者不足の原因”などとふざけた解説をしていた。・・・あぁ・・・馬鹿でも偉そうにするマスコミ
その後、日本テレビ系列で、日本を動かすプロジェクト(http://www.ntv.co.jp/action/)なるものをやっていたが、事実誤認だらけ・・・
by internalmedicine | 2008-12-24 09:38 | 内科全般