サリチル酸系薬剤が糖尿病治療・予防に役立つ?
2008年 12月 30日
本来、非ステロイド系の抗炎症剤なのだが、今注目なのが、2型糖尿病予防に役立つかどうかということで、どの程度、確からしいのかが気になるし、インスリン増加経由だと、内臓肥満に対しては決して好ましい作用とはいえないわけだし・・・
クランプ法によるインスリン作用と糖負荷試験による耐糖のへの二重盲検
The effect of salsalate on insulin action and glucose tolerance in obese non-diabetic patients: results of a randomised double-blind placebo-controlled
Diabetologia. 2008 Dec 23.
【方法】 ランダム化二重盲検プラセボ平行トライアルで、 NIDKK (Phoenix, AZ, USA)の入院患者
BMI≧30 kg/m2の54名の成人(18-45歳)
介入は salsalate (3 g/day, n = 28) or identical placebo (n = 26) を7日間
割り付けは、性別ブロック毎に分けた。
主要アウトカムは、75gOGTTによる耐糖能と、 euglycaemic–hyperinsulinaemic clamp (インスリン注入速度 40 mU m−2 min−1)によるインスリン作用
【結果】47名が完遂、40名を解析(salsalate n=22、プラセボ n=18)
Salsalate治療は空腹時血糖濃度を減少 (mean [SD]; 4.83 [0.28] vs 5.11 [0.33] mmol/l, p = 0.001)
OGTT中のブドウ糖AUCを低下(p = 0.01)
R d増加(20 [8] vs 18 [6] µmol [kg estimated metabolic body size]−1 min−1, p = 0.002)
インスリン濃度増加による正常化後のR dへのsalsalateの影響は消失(p = 0.9)
副作用はこの研究中観察できなかった。
【結論・解釈】 サリチル酸の血糖降下作用は、インスリン作用を改善するというより、インスリン濃度に依存した作用であるようだ。
サリチル酸をベースにした合成物が2型糖尿病の治療・予防へ有益である可能性がある。
Trial registration: ClinicalTrials.gov NCT 00339833.
インスリン増加作用によるもの・・・としたら、あまり期待できないのではないだろうか?
結論は真逆ではあるが・・・
by internalmedicine | 2008-12-30 09:47 | 動脈硬化/循環器