術前はMRSA感染確認→ムピロシン鼻腔軟膏投与 非手術入院患者は不要
2004年 03月 16日
以下の論文をみて
そうかぁ、手術をしないひとにはMRSA感染の鼻腔培養もムピロシン軟膏予防投与もいらないのかと思った次第ですが・・・
結局は手洗いの徹底、開放感染減対策などに内科的にはつきるのではないかと思いました。
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Mupirocin Prophylaxis against Nosocomial Staphylococcus aureus Infections in Nonsurgical Patients A Randomized Study
Wertheim et al. Ann Intern Med.2004; 140: 419-425.
【背景】黄色ブドウ球菌の鼻腔内の存在は院内感染の大きなリスク要因である。鼻腔内のムピロシン投与は院内のsurgical site感染を予防できるが、非手術患者のムピロシン投与はまだ不明
【介入】2%ムピロシン鼻腔用軟膏軟膏(793)と偽薬(809)1日2回5日間入院後1-3日の間に開始
【測定】一定のクライテリアによる院内S.aureus感染、院内死亡率、入院期間、院内S.aureus感染までの時間。内因性に生じたかどうかゲノタイプにて検討。
【結果】ムピロシンと偽薬は感染にて有意差無し、死亡率、入院期間にて有意差無し
しかし、S.aureus感染までの時間が12-25日減少(p>0.2)、S.aureus感染の77%は内因性。
【結論】非手術患者のS.aureus院内感染予防対策として、入院時ルーチンS.aureus鼻腔培養とムピロシン鼻腔軟膏投与は予防として効果がない。
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でも、“鼻腔内のムピロシン投与は院内のsurgical site感染を予防できる(Studies show that intranasal mupirocin can prevent nosocomial surgical site infections.)というのに疑問を持った次第で・・・
で、
手術創予防ガイドライン
“SSIを予防するために術前、鼻腔にムピロシンを使うことは勧告しない。(UI)
ってかいてあったのに・・・と思い
“Intranasal Mupirocin to Prevent Postoperative Staphylococcus aureus InfectionsN Engl J Med. 2002 Jun 13;346(24):1871-7. ”を読むと、
S.aureus感染手術創の頻度はムピロシン軟膏とプラセボは同様(2.3% vs 2.4%)だが、
ムピロシン群はS.aureusプラセボより鼻腔内で同定されるS.aureusは少ない(4.0% vs 7.7%)
S.aureusは鼻腔内に通常あり、キャリアは侵襲的な医療・手術などでキャリアでない患者よりリスクが高い。この大規模緊急でもしキャリアであったらムピロシン軟膏投与は有効である。全部にムピロシン予防投与をするのは意味がない”
と論評にもまとめがあります。
ということは、、術前にS.aureusの鼻腔感染があればムピロシン軟膏予防投与をしなければならないということになりますが、若干、“Studies show that intranasal mupirocin can prevent nosocomial surgical site infections.”には疑問が・・・
健保適応を念のため見ると、
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http://www.annals.org/cgi/content/abstract/140/6/419
次の患者及び個人の保菌する鼻腔内のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の除菌
(1) MRSA感染症発症の危険性の高い免疫機能の低下状態にある患者(易感染患者)
(2) 易感染患者から隔離することが困難な入院患者
(3) 易感染患者に接する医療従事者
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ということで、(1)から考えれば保険適応でしょうか・・・
侵襲度の高い手術をされる先生方はすでに鼻腔内MRSA感染確認→ムピロシン鼻腔軟膏投与はルーチンなのでしょうか?
by internalmedicine | 2004-03-16 16:23 | 感染症