治療不応性院内心停止に対するvasopressin、epinephrine、コルチコステロイドは有効

AHAのACLSガイドライン(Circulation. 2005;112:IV-58 – IV-66.)
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バソプレシンはBox 6で登場している。

Vasopressin, Epinephrine, and Corticosteroids for In-Hospital Cardiac Arrest
Arch Intern Med. 2009;169(1):15-24.
【背景】心停止動物データにてvasopressin-epinephrine併用により長期生存率改善が示されている。心停止にて、cortisol値は心肺蘇生中、蘇生後、相対的に低い。
仮説として、vasopressin-epinephrineとcorticosteroid補充が治療不応性の院内心停止に対して生存率を改善する仮説をたてた。

【方法】 現行のガイドライン基準によるエピネフリン必要心停止連続患者100名にて
1)vasopressin(20 IU/心肺蘇生蘇生周期)+エピネフリン(1 mg/蘇生周期):48
2)対照群:等張食塩+エピネフリン(1mg/蘇生周期):52名
ランダム化後5蘇生周期使用、必要ならエピネフリン追加投与を続ける。

初回蘇生周期において、研究群は酢酸メチルプレドニゾロン(40mg)と生食プラセボ

蘇生後はstress-doseのhydrocortisone sodium酢酸(300mg/d/7日間最大にて次第に漸減)(27名)とプラセボ対照(15名)

プライマリエンドポイントは、15分以上の自発循環回復と退院時生存

【結果】研究グループ患者と対照は、自発循環回復が多く 39/48 [81%] vs 27/52 [52%]; P = .003)、退院時生存率改善 (9 [19%] vs 2 [4%]; P = .02)

蘇生後ショック vs 呼応する対照比較で、研究対照群では、退院生存改善(8 of 27 patients [30%] vs 0 of 15 [0%]; P = .02)、血行動態改善中心静脈酸素飽和度改善、無臓器不全期間増加をもたらした。
副事象イベントの差は無かった。

【結論】単一施設トライアルにて、vasopressin-epinephrine併用+蘇生期間中のメチルプレドニゾロンと、蘇生後ショックに対するハイドロコーチゾンのstress-doseは治療不応性の院内心臓突然死を改善した。

Trial Registration clinicaltrials.gov Identifier: NCT00411879






エピネフリンとバソプレシンを心室粗動and/or脈無し心室頻拍の治療選択としてリスト化されているが、専門医でも認識が少ない
CE Online and Journal Club Feature
Critical Care Providers’ Perceptions of the Use of Vasopressin in Cardiac Arrest
American Journal of Critical Care. 2005;14: 481-492


加えて、院外CPR後の投与に関するnegative findingがあり、現場の混乱がもたらされている。
Vasopressin and epinephrine vs. epinephrine alone in cardiopulmonary resuscitation. N Engl J Med 2008;359:21-30.(
院外ACLS:vasopressin併用は無効 2008年 07月 03日)

by internalmedicine | 2009-01-13 09:06 | 動脈硬化/循環器  

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