日医:ヘルシンキ宣言改訂版(和訳)


”FDAヘルシンキ宣言放棄”について(The Lancet)  2009年 01月 02日というのを今年最初の書き込みで記載したが、日医にて、”ヘルシンキ宣言改訂版(和訳)について”が記載されている。


→pdf(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090114_2.pdf

全体の主な変更点
・ 注釈とされていた、旧29 項のプラセボの使用に関する項目および旧30 項の被験者の権利について述べた2 項目を本文に組み入れた。
・ 新1 項で、この宣言は総合的に解釈すべきとの一文を入れ、各項目内容が緊密に結びついていることを強調した。
・ 新2 項で、Human subjects という概念で人間を対象とする医学研究に携わる医師以外の人々にも広くこの宣言を使ってほしいと推奨している。
・ 全体として被験者、弱い立場の人々の擁護をいっそう強化するものとなった。
・ 個人を特定できるヒト由来の試料、データ、データベースを利用する研究の承認について記
述した。




これなどは、治験関係者にとって大きなニュースだろう。
 ↓
副作用死:未承認抗がん剤で治験 患者遺族が近大など提訴(毎日新聞 H21.1.14 ウェブ
 未承認の抗がん剤の副作用で死亡した大阪市内の男性(当時71歳)の遺族が14日、他に有効な治療法があったのに効果が不明な新薬の治験(臨床試験)を受けさせられ、延命の可能性を失ったとして、近畿大と製薬会社側などに4950万円の損害賠償を求め大阪地裁に提訴した。抗がん剤はその後、期待される結果が出なかったとして開発中止された。遺族側代理人によると、承認されなかった薬の治験の妥当性を問う訴訟は全国初という。


(毎日新聞なので、記事のミスリードがあるかもしれないということを念頭に)家族が本人の代理となり得るのか?そして、結果責任をおわされるのか?・・・裁判があらぬ方向に向かえば日本での新薬治験はさらに困難となるだろうし、未来の受益者に対して損害をこうむることになる。

by internalmedicine | 2009-01-16 08:39 | 医療一般

 

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