高齢者の薬剤副作用のリスク :年齢でなく、合併症が問題
2009年 01月 16日
1980-2000年のWestern Australian data linkage systemを用いた、28548名の60歳以上の薬剤副作用(ADR:adverse drug reactions)によるデータ
高齢者において、加齢でなく、合併症の状態が、繰り返しの薬剤副作用による繰り返し受診予測因子となる。特に地域にてマネージされている合併症がある老人では特に問題である。
副作用予測因子を認知することが臨床にとって重要で、密なモニタリングによるベネフィットをもたらすだろう。
Comorbidity and repeat admission to hospital for adverse drug reactions in older adults: retrospective cohort study
BMJ 2009;338:a2752
5056 (17.7%) がADRによる受診反復
繰り返しADRsは以下の要因が関連(この場合、併存疾患60%が記録にあり、考慮された)・性 (男性:ハザード比 1.08, 95% 信頼区間 1.02 ~ 1.15)
・1995-9 初受診(2.34, 2.00 ~ 2.73)
・入院期間(1.11, 1.05 ~ 1.18, for stays ≥14 days)
・Charlson comorbidity index (1.71, 1.46 ~ 1.99, for score ≥7)
高齢という要因では、繰り返しADRsの影響はない。
(代わりに、)合併心不全(1.56, 1.43 ~ 1.71)、 末梢性血管疾患 (1.27, 1.09 ~ 1.48)、 慢性肺疾患(1.61, 1.45 ~ 1.79)、 リウマチ性疾患 (1.65, 1.41 ~ 1.92)、軽度肝疾患(1.48, 1.05 ~ 2.07)、 中等~重症肝疾患 (1.85, 1.18 ~ 2.92)、 (moderate)糖尿病 (1.18, 1.07 ~ 1.30)、 慢性合併症を有する糖尿病 (1.91, 1.65 ~ 2.22), 腎疾患(1.93, 1.71 ~ 2.17)、 リンパ腫・白血病を含む悪性疾患全種類(1.87, 1.68 to 2.09), 転移性固形腫瘍 (2.25, 1.92 ~ 2.64)が強い予測因子である。
継続ケア必要とする合併症はADRによる繰り返し入院の尤度減少予測因子となる(脳血管疾患 0.85, 0.73 ~ 0.98; 認知症 0.62, 0.49 ~ 0.78; paraplegia 0.73, 0.59 ~ 0.89)
65歳以上は”Charlson comorbidity index”を、問診ルーチンにすべきなのかもしれない。
by internalmedicine | 2009-01-16 10:00 | 医療一般