鍼を評価する事の難しさ:プラセボ効果を掘り下げたシステマティックレビュー

プラセボ効果が全て悪いわけではないだろうが・・・"経絡"や”気”などを客観的に考えることは必要だろう。あらたなQuackeryを生まないためにも・・・

鍼は除痛治療として用いられることが多いが、緊密な患者・施行者関係に基づくことが示唆され、トライアルとして盲目化が様々されている。この報告では、鍼の除痛効果は少数で、やはり盲検化が不十分であるための効果ということが判明した。
プラセボである、偽鍼の除痛効果は中等度だが、その程度にばらつきがある。
鍼の効果として報告されているその程度は、対照として用いられた偽鍼の種類には無関係の結果であるようだ。



このレビューの説明として、
鍼治療は疼痛治療のため多く用いられているが、"meridian" や vital energy "Qi" と言う概念など独特な鍼のポイントがある。"gate control theory"や内因性オピオイドなどがそのメカニズムとして提唱されている。2005年2つの大規模、質の高いトライアルが行われ、頭痛にて軽度の差が認められたが、プラセボ鍼と非鍼施行群に差がなかった。
この結果は、プラセボ鍼の、それまでの中等度から小程度の効果を認めた大規模システマティックレビューとと異なるもので、未治療群の盲目化ができないことによるレポーティング・バイアスと区別困難となった。鍼・偽鍼の麻酔効果に関する研究として、プラセボの種類により効果が異なるかを見ることが必要となった。



鍼と偽鍼の効果の違いを検討し、プラセボ鍼の種類で鍼の効果の影響を与えるかの検討

鍼と偽鍼のトトライアルで種類の違いにて1-5というランクをもうけて、生理学的効果の可能性を評価したもの


Acupuncture treatment for pain: systematic review of randomised clinical trials with acupuncture, placebo acupuncture, and no acupuncture groups
BMJ 2009;338:a3115

13のトライアル (3025 名)で疼痛程度様々。割り付けは8つのトライアルで適切に行われており、鍼・偽鍼治療のマネージングはブラインド化されてない。70名のあきらかに外れたトライアルは除外した。

鍼vs偽鍼で小程度の差異: 標準化平均差 –0.17 (95% 信頼区間 –0.26 ~ –0.08)で、 4 mm (2 mm ~ 6 mm)に相当(100 mm VAS)
統計学的に有意でないheterogeneityが存在 (P=0.10, I2=36%)

Meta-analysis of acupuncture versus placebo acupuncture


プラセボ鍼vs鍼なしの差は中等度:標準化平均差 –0.42 (95% 信頼区間 –0.60 ~ –0.23)
だが、heterogeneityが存在 (P<0.001, I2=66%)、すなわち、大規模トライアルほど小さく、プラセボの影響が大というものであった

偽鍼の種類と鍼の効果に関する関連は認められなかった(P=0.60)


Meta-analysis of placebo acupuncture versus no acupuncture


鍼といわゆる"sham"、偽鍼:"placebo acupuncture”の、麻酔効果比較で、小さな麻酔効果が見られ、臨床的な明らかさをもたず、バイアスと区別できない。
鍼の真のポイントに打つことが治療
偽鍼は、表面的で、ポイントを外したものだが、これでもまだ生理学的影響がある可能性があるというエディトリアルの記載。
偽鍼の影響を解釈することで答えが導かれるだろうという。


Qiとは、”気”で良いのだろうが、Meridian:子午線だろうが、経絡のことだろうか?

by internalmedicine | 2009-01-30 09:34 | 運動系  

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