ATHENA:リスクある心房細動へのdronedaroneの効果
2009年 02月 12日
心拍コントロール薬剤として紹介(Multaq®(一般名:dronedarone):ERATO study:持続性心房細動の心拍コントロール 2008年 09月 04日)
今回は、リスクある状態の心房細動への積極的応用トライアル
Dronedaroneはベンゾフラン誘導体で、アミオダロン類似の電気薬理学的特性をもち、個々のチャンネルに異なる影響をあたえるもの、構造的変化として、ヨードを除き、methane-sulfonylを加えた結果、後者の特性にてlipophilicity(脂溶性)減少し、半減期減少し、組織蓄積が低下した。
この分子特性により、アミオダロンに見られる甲状腺や肺疾患関連リスクが少ない。
Dronedaroneは肝臓代謝であり、便排泄される。
抗不整脈薬dronedaroneのプラセボ比較(NCT00174785)
Effect of Dronedarone on Cardiovascular Events in Atrial Fibrillation
N Engl J Med. Vol. 360(7) :668-678Feb. 12, 2009
他の死亡リスクのある、心房細動4618名に対するdronedaroneの多施設トライアル
dronedarone 400mg×2回/日 vs プラセボ
一次アウトカム目標は、初回心血管イベント入院・死亡
二次アウトカム目標は、全原因死亡、心血管疾患死亡、心血管イベントによる入院
平均フォローアップ期間は、 21±5 ヶ月研究薬剤早期中止は、dronedarone 696/2301(30.2%)、プラセボ716/2327(30.8%)
一次アウトカムはdronedarone群734名(31.9%)とプラセボ群917名(39.4%)でハザード比(ハザード比 0.76 (95% 信頼区間[CI], 0.69 ~ 0.84; P<0.001)
dronedarone群116名(5.0%)死亡、プラセボ群139名(6.0%)死亡(ハザード比 0.84; 95% CI, 0.66 ~ 1.08; P=0.18)
心血管原因死はdronedarone群で63名(2.7%)、プラセボ群で90名(3.9%)(ハザード比, 0.71; 95% CI, 0.51 ~ 0.98; P=0.03)
この低下は、主に、不整脈死亡比率の減少によるところが大きい
dornedarone群は徐脈、QT間隔延長、吐き気、下痢、皮疹、sCr増加をプラセボより多い
甲状腺・肺関連副事象の比率は両群で差がない
治験参加条件は75歳以上、70歳以上でなんらかのリスク要因(薬剤抵抗性高血圧、糖尿病、心血管アクシデントもしくは血栓症の既往、LA径が50mm以上、LVEF<40%)のいづれか)を有するもの
2つの大規模研究
N Engl J Med 2007;357:987-999 N Engl J Med 2008;358:2678-2687
Anti-arrhythmic Trial with Dronedarone in Moderate to Severe CHF Evaluating Morbidity Decrease (ANDROMEDA):N Engl J Med. Volume 2008;358:2678-268
今回の研究が、ATHENAトライアルということになる
ANDROMEDAは心不全患者のみ対象であったが、ATHENAはより対象を広げた形
by internalmedicine | 2009-02-12 08:46 | 呼吸器系