中年の運動は、最終的には寿命を延ばすが、運動不足の人が急に行うと、5-10年は危険

50歳以降の、身体活動、すなわち娯楽運動の推移と、累積死亡率を観察した論文
1)高度運動→高度運動継続
2)高度運動→低・中等度運動
3)低・中等度運動→高度運動
4)低・中等度運動→低・中等度運動継続


この論文の主旨は、従来、「運動は、健康・寿命延長に役立つとされ、運動不足やその結果による身体活動低下が大きな健康問題となっている。この論文では身体活動性・運動量は用量依存的に総死亡率減少と相関することを示し、中年・高齢での生存延長は5-10年の期間を終えてから効果が現れるようだ。そして、その寿命延長効果は禁煙と同様である。」というもの。


わたしは、この群分けの死亡推移をみると、興味深く思った。中年になって運動を始めても、死亡率改善効果はとぼしいといえないだろうか?



Total mortality after changes in leisure time physical activity in 50 year old men: 35 year follow-up of population based cohort
BMJ 2009;338:b688, doi: 10.1136/bmj.b688 (Published 5 March 2009)

【デザイン】 住民ベースコホート研究・35年に及ぶフォローアップ

【セッティング】 Municipality of Uppsala, Sweden.

【治験参加者】 1970-3年に50歳の2205名 男性、60、70、77、82歳時、再検査


【主要アウトカム測定】 総(全原因)死亡率.

【結果】 絶対的死亡率は、 低、中等、高 運動活動性で、27.1、23.6、18.4 / 1000 人年
高運動量による相対的死亡率低下の比率は、中等度運動量に比べ22%、低運動量に比べ32%である。

50-60歳時に高運動量の男性は、フォローアップ最初の5年間は死亡率が高い (補正ハザード比 2.64, 95% 信頼区間 1.32 ~ 5.27, 高運動量維持男性と比較)

身体運動増加させた場合、10年後に高運動維持男性と同レベルにまで死亡率は低下する (1.10, 0.87 ~ 1.38)

運動量増加と関連する死亡率減少効果(低運動量維持群比較 0.51, 0.26 ~ 0.97)は禁煙と同程度の効果(喫煙維持群との比較 0.64, 0.53 ~ 0.78)である。



【結果】 中年での運動量増加は、結局、同レベルで死亡率減少をもたらし、高運動量維持の群で同程度の死亡率減少が継続する。
この減少効果は、禁煙による効果と同程度




by internalmedicine | 2009-03-06 10:35 | 運動系  

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