偏った医療情報を広めようとする産経・NHK:ホルモン補充療法・インフルエンザ予防
2009年 03月 07日
そもそも、最近の知見でも、
閉経後ホルモン補充療法中止後の乳ガン発症の明確な減少効果 2009年 02月 05日
で、示されてるごとく、女性ホルモンの補充療法は、その後の検討でも発ガンとの関連の信憑性は深まり、心血管疾患系への悪影響も確定的となっている。
なども、それを否定する、確定的エビデンスはその後も無い。女性の心血管疾患エビデンスに基づくガイドライン改訂版発表 2007年 02月 21日
ホルモン補充療法、SERMsは心臓疾患予防に関して推奨しない
ホルモン補充療法中断3年後の結果:悪影響2-3年続く 2008年 03月 05日
にもかかわらず、産経では、ホルモン補充療法が関連無く、WHIを否定し、ホルモン補充療法を推進するような記事
おそらく、この記事は、ホルモン補充療法:生活の質改善:WISDOMトライアル 2008年 08月 22日と、WISDOM(BMJ 2008;337:a1190, doi: 10.1136/bmj.a1190 (Published 21 August 2008))では、「睡眠、鈍痛・鋭痛、性的機能を改善する」ことがしめされたことに基づく記事だろう。
だが、このトライアルは、生活機能改善面のベネフィットのみで、心血管リスクや癌のリスクは否定できないのである。
原著をちゃんと読めばわかるが、Health related quality of life と psychological wellbeing 測定(女性健康アンケート調査)なのである!
しかも、1年間フォローアップのみの論文・・・で、反論たり得ない!
現時点では、WHIの結果を謙虚に受け止めるべきであり・・・有害性を軽視すべきではない。
マスコミは、安易に、ホルモン補充療法を広めたがってるか?
もうひとつ、マスコミ問題として・・
「歯磨きでインフル発症率10分の1」は本当?
3月6日18時9分配信 医療介護CBニュース
で
厚労省健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室の高山義浩さん(感染症医)は、「こういった話(研究結果)があることは把握しているが、エビデンスが蓄積されていないので、まだ国として(予防法として)推奨する段階には至っていない」との見解を示し、その上で、「専門家の調査、意見が集約されるのを待ちたい」とコメントした。
・・・・と、厚労省専門家は、さすがに、対象治験とはいいながら、「小さい規模の研究」、多施設報告でないため、出版バイアスが否定できないため、このような慎重な物言いをしていると思う。
それにしても、小規模研究程度で、確定的な印象を与える内容を、半国営放送が流すとは・・・
日本では、メディアリテラシー教育はなされてないに等しい・・・その上に、報道する側が・・・これじゃ・・・市井に嘘情報があふれるのは・・・当然なのかもしれない。マスコミに倫理がないのが常識・・・それを国民に知らしめる方が大事なのかもしれない。
by internalmedicine | 2009-03-07 08:43 | メディア問題