終末期医療:事前の医師との話し合いがコスト削減につながる

財務省のお偉いさん(向井治紀 財務省主計局)に言わせると、ターミナルケアは、医療保険から外すべき・・・らしい。こういう人格が崩壊しているとしか思えないのが、この国の施策を牛耳ってるのだから・・・この国の将来はない。

象徴的だったのが・・・“後期高齢者終末期相談支援料・・・1人1生涯・・・2000円”・・・財務省の手下の厚労省のお役人が設定。

国は終末期に金払いたくないというのは、はっきりしている。なら、終末期に関して、国民1人1人の自分の意思をはっきりさせる必要がある。終末期医療というのは、「面と向かって、“死”の議論を避ける」国民性・・・は、医療の現場に、膨大なコスト増加をもたらしている・・・というのは私見・・・「告知せず」なんてドラマがつい最近もあったそうで・・・日常臨床で経験する事態と乖離があるような気がする。

前置きが長くなったが・・・集中的治療によりコストが高くなる死亡前1週間のコストと医師との事前会話の関係

Health Care Costs in the Last Week of Life
Associations With End-of-Life Conversations
Arch Intern Med. 2009;169(5):480-488.
【結果】 603名の被験者のうち、188(31.2%)がベースラインでのEOL discussionを報告
propensity score matching後、残りの415名の患者の社会人口学的特性、被検参加場所、疾患受容性、治療指向に差異無し。

更なる解析では、propensity score5分位や有意な共役因子補正後、ケアの集中コスト
EOL discussionの報告があった場合、$1876 ($177)、無かった場合、 $2917 ($285)
コストの差は$1041 (35.7%) (P =.002)

コストの高い患者はより、最後の1週間の死の質が低い (Pearson production moment correlation partial r = –0.17, P =.006).


結論としては、進行癌患者では、医師とEOLについての会話がなされている場合は、有意に、最期の1週間での医療コストが低い。そして、そのコストは死の質悪化と相関する。


Quality of death : “Quality of Dying and Death”
参考:“Quality of Dying and Death” と 財務省官僚たち 2008年 05月 13日


今のところ、主治医は、患者と死期に関して話をいくら長くしても・・・2千円どころか、0円


告知すると損害賠償請求(新・医事紛争Q&A  第6回 「癌の疑いの告知」 )、告知しなくてももちろん損害賠償請求(最高裁;家族に末期がん告知せず、病院の敗訴確定(02年9月24日))・・・って、世の矛盾のツケを、現場・・・すなわち、医療関係者につけ回し。しまいには、死に目にあえなかったということで裁判を起こされたり・・・役人たちにとっては、目先の予算削減できれば何でも良いのだろうが・・・



Studies Clarify End-of-Life Issues
Medical News: Geriatrics

by internalmedicine | 2009-03-10 11:07 | 医療と司法  

<< 認知症ケア家族の虐待は半数に見... 急性心筋梗塞患者の入院中血糖コ... >>