【心筋梗塞後患者死亡率】 人種差による治療戦略より、受療施設や患者特性による影響が大
2009年 03月 16日
Factors Associated With Racial Differences in Myocardial Infarction Outcomes
Ann Int Med. 3 March 2009 Vol. 150 Issue 5 Pages 314-324
被補正死亡率は黒人で高く(19.9% vs. 9.3%; P < 0.001) 、再入院率も高い (45.4% vs. 40.4%; P = 0.130)、狭心症も多い(28.0% vs. 17.8%; P < 0.001)、そして、平均QOLも悪い (80.6 [SD, 22.5] vs. 85.9 [SD, 17.2]; P < 0.001)
患者特性補正後、死亡率く (ハザード比, 1.29 [95% CI, 0.92 ~ 1.81]; P = 0.142)、再入院率(ハザード比, 0.82 [CI, 0.66 ~ 1.02]; P = 0.071)、1年次狭心症(オッズ比, 1.41 [CI, 1.03 ~ 1.94]; P = 0.032) など黒人では悪いが、QOLは同等(差平均, –0.6 [CI, –3.4 ~ 2.2])
受療施設により、死亡率の差は、さらに減衰(ハザード比, 1.04 [CI, 0.71 ~ 1.52]; P = 0.84)。
治療補正によりその相関への影響は最少
心筋梗塞患者は黒人で、白人より、アウトカムが悪いが、患者要素、受療施設で補正後、差異は持続しない。さらに治療補正後観察された差に影響はきわめて少なくなる。
ベースラインの心臓リスクや病院要素に注目することで、人種差に焦点をあてた治療戦略に焦点を当てた戦略より、より多くの改善をもたらすこととなるだろう。
黒人では心臓疾患予後が悪いというのは、おかれた環境の悪さや患者特性により影響されていて、それが人種差で片付けられてしまってた部分があるというもの
医療施設や環境、患者特性を改善すれば、人種差が狭まるだろう・・・という話
オバマ大統領になったから、こういうのが論文として・・・ってわけでもないのだろうが・・・
人種差で予後の差を片付ければ、為政者は簡単・・・要するに、行政や政治が、介入する部分ではないと言い切れるから・・・日本の諸問題も、地域差とかで片付けてしまえば、為政者は簡単・・・たとえば、塩分を多くとりすぎる地域がある、自殺発生の多い地域がある・・・と、地域に問題にしてしまえば為政者は責任回避できる。
by internalmedicine | 2009-03-16 09:26 | 動脈硬化/循環器