カリウム保持性利尿剤+ACE阻害剤にてかえって再入院率・死亡率悪くなる・・・? カリウムを測れ!


RALES試験日本語訳しているところ)にてACE阻害剤にスピロノラクトン使用併用で死亡率・再入院率を減少させるという発表がありました。
そのため、一般住民レベルでも同じこと、すなわち、死亡率・再入院率減少が図られるかと思いきや・・・・

スピロノラクトンや他のカリウム保持性利尿剤とACE阻害剤の併用は外来の高カリウム血症のリスクを増加させるわけで、一般大衆レベルでそのインパクトはどの程度かを調べたもの。



“心不全に対する効果より、高K血症による入院や死亡率増加の方がめだつ論文”

Rates of Hyperkalemia after Publication of the Randomized Aldactone Evaluation Study
NEJM Volume 351:543-551 August 5, 2004 Number 6

Randomized Aldactone Evaluation Study (RALES) により重症心不全のアウトカムの改善を有意にもたらすことを示した。ACE阻害剤もまたこの患者への適応があり使用されている。しかし、ともにこれらの薬剤を使用する場合生命危機をもたらす高カリウム血症が生じている。
【方法】1994-2001年住民ベースの経時的分析でスピロノラクトン処方率と救急にて高K血症による入院率をRALES発表前後で施行。130万超の66歳以上のカナダ・オハイオ州での処方判明データと入院記録をリンクしてみた。
【結果】
心不全で入院したACE阻害剤治療患者のなかで、スピロノラクトン処方率は1994年34/1000、2001年後半149/1000(P<0.001)
高K血症による入院率は1994年2.4/1000→2001年11.0/1000(P<0.001)で、死亡率0.3/1000→2.0/1000と増加 (P<0.001)。

イベント予測数と比較するとACE阻害剤治療の心不全老人の間で2001年の間に
560(95%CI 285 - 754) の付加的高K血症関連入院
オンタリオにおけるACE治療されている心不全老人の間で73(95%CI 285 - 754) の付加的入院死亡があった。
RALESの公表は心不全による再入院率・全原因死亡率の有意な減少との関連はない

【結論】
RALESの出版はスピロノラクトン処方率を急激に増加させ、高K血症関連合併症・死亡率を増加させた。厳格な検査モニタリングとより適切なスピロノラクトン使用がこの合併症を減らすだろう。
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EBMの実践ということで、エビデンス重視のため、大きなランダム化試験(RCT)がなされるけど、その影響は益々大きくなっています。一般大衆レベルでの薬剤の正負のインパクトというのはあまり考慮されてないわけで、RCTだけで左右されるのも考え物で、すくなくとも、薬剤起因性の致死的な副作用だけは考慮されなければならないわけです。RCTの場合は治療中の検査まで考慮されているわけですが、一般になされる場合は検査が不十分なことがある・・そういうことではないのかなと思います。

RCTそのままの効果が目の前の患者さんに当てはまるわけではない。そのような努力をしなければ・・・

by internalmedicine | 2004-08-05 14:19 | 動脈硬化/循環器  

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