STICH Hypothesis 2 研究: 外科的心室再建は臨床アウトカム改善せず



うっ血性心不全は、先進国での死亡原因・合併症トップのひとつで、冠動脈疾患が心不全の原因として主なもので、左室機能、症状、臨床的アウトカム改善を目指す治療が、RCTにてベネフィットを有するACE阻害剤、ARB、β遮断剤、アルドステロン拮抗剤、心臓再同期療法とともに用いられている。
しかし、冠動脈疾患に特異的治療として、虚血性心筋症や心筋梗塞に注目した治療法はない。
Coronary-artery bypass grafting (CABG)は、症状改善として用いられ、今は生存率改善として、選別された虚血性心疾患患者に用いられていたが、PCIの治療アウトカムが改善したことで、CABG施行数が減少してきていた。しかし、CABGは、LMTや3枝病変では標準治療であり、CABGによる再建術は、心筋還流を改善するが、梗塞部位の機能を回復できない。かつては、心筋梗塞で見られた心室瘤性の心筋梗塞部位は今では再還流により減少した。しかし、心筋機能障害の部位はいまだに多くみられ、心臓の李モデリングや心不全発症を生じるもととなっている。

機能障害を有する心筋部位への再建、左室の再建の手術は “surgical ventricular reconstruction”(外科的心室再建)として知られ、その手術は選択的になされ、一般にはCABGとともに行われている。


以前の報告で、ランダム化されたものはなく、また単独センターのトライアルや、他施設でも観察研究であった。


Coronary Bypass Surgery with or without Surgical Ventricular Reconstruction
www.nejm.org March 29, 2009 (10.1056/NEJMoa0900559)
【方法】 2002年7月から2006年1月まで、左室駆出率35%以下で、CABG・この手術に適した冠動脈疾患の総数1000名
・CABG単独 (499 名)
・CABG + 外科的心室再建(501 名)

プライマリアウトカムは、全原因死亡・心臓疾患入院
フォローアップ中央値は48ヶ月

【結果】 手術的心室再建は収縮期週末容積指数を19%減少させ、CABG単独では6%であった。

心臓症状や運動耐容能のベースラインからの改善は2群で同等

しかし、プライマリアウトカムにおいて有意な差は認められず(CABG単独  292 (59%) vs CABG+左室再建 289名 (58%) ハザード比 0.99;95% 信頼区間  0.84 ~ 1.17; P=0.90)


外科的心室再建(Surgical ventricular reconstruction)も、バチスタ手術も、派手な割にはアウトカム改善にはつながらない?(バチスタ手術 2006年 04月 13日

Batista procedure
During this surgical procedure, to treat heart failure, the surgeon cuts out a piece of the patient's enlarged left ventricular muscle. The intention is to reduce the size of the left ventricular cavity, improve left ventricular function and reverse congestive heart failure. This procedure is not performed at the Cleveland Clinic Heart and Vascular Institute at this time because long term results revealed a significant failure rate, however, this procedure has led to better surgical techniques to treat those with heart failure(照)



by internalmedicine | 2009-03-30 14:24 | 動脈硬化/循環器  

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