若年男性の自殺の多くは8歳時点での心的病態で予測できる・・・小児期心理病態の重要性

若年男性では8歳時点での心理的病態がその後の自殺と関連する・・・男は子供の頃の“心の痕跡”を長く引きずるようだ。


論文中の質問紙はChildren's Behaviour Questionnaire

Childhood Predictors of Completed and Severe Suicide Attempts: Findings From the Finnish 1981 Birth Cohort Study
Arch Gen Psychiatry. 2009;66(4):398-406.
【序文】 知る限り、前向き、住民ベース研究にて初等・中等小児期の心理病理的疾患と後年の自殺との関連を予測した研究はなかった。

【目的】 小児、8歳時点での心理病態疾患と後年の自殺完遂や重篤な自殺企図の相関予測T

【デザイン】 8-24歳対象ののBirth cohort study

【セッティング】 Finland.

【被験者】 1981年生まれの5302名のフィンランド人で、心理病態に関する情報、学業、親・教師・子供からの情報が得られたもの

【主要アウトカム】 国家生涯記録(自殺完遂・入院必要な自殺企図)

【結果】 男性では、 8-24歳で24名死亡、13名自殺、対して女性では、16名死亡、うち2名が自殺
全体の1%にあたる44名の男女で自殺完遂・重大な自殺企図(入院の結末となった)
27名の男性自殺完遂・重大自殺企図のうち、78%が8歳児の親や・教師のRutter scale陽性であった。対して女性では11%が陽性であった。
男性のうち、自殺完遂・重大自殺企図アウトカムは8歳時点でのnonintact familyと居住する、担任教師の報告した心理的問題、行動・多動・情緒問題などが予測因子である。
しかし、8歳時点でのうつ症状自己報告は自殺アウトカムを予測し得ない。
8歳時点での研究変数と自殺アウトカムの予測的相互関係は女性では見いだせない。
男性自殺アウトカムは、行動的問題と内面的問題の組み合わせにより強く予測しえた。

【結論】 思春期・若年時の自殺完遂もしくは重篤な自殺企図を行った弾性波8歳時点で心理的な問題を有しており、この問題は、一生持続する、“trajectory”(痕跡)を意味する。
しかし、女性の重篤な自殺は8歳時点の心理病態により予測できない。この結果は、男性においては心理的問題を早期に発見し、治療する必要性が示唆される。

by internalmedicine | 2009-04-07 09:11 | 精神・認知  

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