褐色脂肪組織:適応熱産生の証明と組織分布の視覚化・・・肥満成因として確実視

再び、褐色脂肪組織が話題になることが多くなってきた。

"褐色脂肪"と言われながら、ほんとは 褐色脂肪細胞は筋細胞が起源? 2008年 12月 11日という話がある。
残念ながら、下記NEJM論文には引用されてないようだ・・・タイミングの問題だろうか?

齧歯類では、褐色脂肪組織が体重、エネルギーバランス、糖代謝に強く影響され、人では関連や褐色細胞腫などの交感神経緊張亢進状態などで観察されてきたが、成人において、この褐色脂肪組織そのものが存在するか議論さえ存在してきた。18F-FDG摂取過剰な脂肪組織を褐色脂肪組織と判断する方法が行われ、生体内での検討がなされ始めた。


褐色脂肪組織の分布
18F-fluorodeoxyglucose positron-emission tomographic and computed tomographic scans(18FG-PET/CTと略す)により、この組織が画像的に同定できるようになった。
この組織が前頚部から胸腔へ広がっていること
そして、女性では7.5%、男性では3.1%にみられ、BMIと逆相関する
高齢者では特に重要な役割を果たしていることが類推される
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Identification and Importance of Brown Adipose Tissue in Adult Humans
NEJM Vol. 360:1509-1517 April 9, 2009








健康成人の寒冷刺激褐色脂肪組織
体組成とエネルギー代謝に関連した褐色脂肪組織活動性に関する仮説の検証


24名中23名が寒冷暴露後活動性を認め、thermoneutralな状況下では認められなかった。
この組織の活動性が安静代謝と正の相関を示し、やせより肥満・過体重で活動性が低い

Identification and Importance of Brown Adipose Tissue in Adult HumansNEJM Vol 360:1509-1517 Apr 9, 2009


適応熱産生刺激(”stimulating adaptive thermogenesis”)というらしいが、“the facultative heat produced in response to cold and diet”、すなわち、寒冷・食事などで熱発生を起こす仕組みが、太らないこととつながるという話で、それを実証した報告である。ミトコンドリア脱共役蛋白(uncoupling protein)との関係など、それなりの傍証が整ってきた。
以前の報告だと、寒冷による熱産生は安静時代謝速度の11.8%に相当し、個人差が激しい。
故に、肥満しやすいかどうか、こういったものが影響を与えるかもしれないという想定がなされていた。

by internalmedicine | 2009-04-09 10:04 | 動脈硬化/循環器

 

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