今、その時?:COPDの骨外ビタミンD作用 ・・・ 期待

ビタミンD生理学(Prog Biophys Mol Biol. 2006 Sep;92(1):4-8. Epub 2006 Feb 28
ビタミン D3は太陽のUVにより活性化、その原料は魚脂からが多く、肝臓での水酸化、25(OH)Dとなり、腎臓で1,25(OH)2Dとなる。活性代謝産物が細胞内に入り、ビタミンD受容体と結合し、カルシウム結合タンパクなどの遺伝子の働きと関連する。transcription、translation後、タンパク合成、たとえばosteocalcinやカルシウム結合タンパクが形成される。カルシウム結合タンパクは腸管からのカルシウム吸収を介する蛋白で、1,25(OH)2Dとなる。1,25(OH)2Dの合成は、PTHにより増加、カルシウムで減少する。ビタミンD欠損のリスクはpremature birth、skin pigmentation、太陽光暴露不足、肥満、吸収不良、加齢である。ビタミンDの状態は、ヨーロッパ内では太陽光暴露に依存するが、南欧では25(OH)D濃度は高い。重度ビタミンD不足は、くる病・骨軟化症を生じ、新生骨、osteoidがmineral化しない。重症度のそこまでない場合、血中PTHは増加し、骨吸収を促し、骨折、骨粗鬆症が増加する。25(OH)DとPTHは血中では負の相関があり、25(OH)Dの閾値は、PTH約75nmol/lから始まることが多くの調査で見いだされている。
老人ビタミンD不足に対するビタミンD補充は、骨密度を増加し、特に介護施設にて骨折予防頻度を減少させる可能性があり、1,25(OH)2DとビタミンD受容体の影響は遺伝的欠損患者やKOマウスで検討され、この結果、カルシウム再吸収や長軸的骨芽細胞・破骨細胞の増殖活性化に、1,25(OH)2DやビタミンD受容体が必須であることが示されている。一方、高カルシウム濃度、経口カルシウム高用量投与やカルシウム点滴などで骨のmineralizationが生じる。1,25(OH)2D活性体は、ビタミンD受容体を通して遺伝子発現をもたらす。カルシウム結合たんぱくやoseocalcinやplasma membrane receptorやcyclic AMPなどのセカンドメッセンジャーなどである。後者の反応は極めた迅速で、膵臓、血管平滑筋や単球に及ぶ。筋細胞はビタミンD受容体を含み、いくつかの研究で血中25(OH)Dがphysical performanceと関連していることが示されている。1,25(OH)2D活性代謝体は、抗増殖作用を融資、炎症マーカーをdownregulateする。1,25(OH)2Dは腎外合成がcytokineの影響下で生じ、細胞分化・機能のparacrine regulationにとって重要である。このことにより、ビタミンD欠乏が、多発硬化症や1型糖尿病などの自己免疫疾患に果たす役割も説明されている。
活性体1,25(OH)2Dはpleiotropic effectを融資、ビタミンD受容体、ビタミンDによる多くの遺伝子や、セカンドメッセンジャーや膜受容体を通して非遺伝子的影響を迅速に与える。腸管カルシウム吸収活性化は1,25(OHO)2Dの合成、intactなビタミンD受容体に依存する。骨mineralizationは周囲の骨濃度に依存し、ビタミンD代謝体は自己免疫や癌予防に役割を果たすかもしれない


・・・といことで、呼吸器名物、二番煎じ・・・まぁ効けばよいが・・・


Vitamin D Beyond Bones in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Time to Act
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 179. pp. 630-636, (2009)
ビタミンD内分泌は、きわめて多数の遺伝子を調整し、関連する生物学的プロセスがビタミンD・日光暴露の健康への影響を与える。
加えて、ビタミンD呈か状態が癌、自己免疫疾患、慢性感染症などの疾患に強く影響を与えているという疫学データが累積している。
世界の約半数の老人、成人の一部は、25-OHD血中濃度が不足・低下している。慢性疾患へのビタミンD適切な補充に関するいくつかの介入試験がなされている。
COPDがビタミンD補充にて有益性が認められるかもしれない一つの候補疾患である。

骨折予防を超えた効果として、血中25-OHD値と肺機能の用量依存的関係が疫学調査でみとめられている。
免疫系への新しい知見系列として、ビタミンDが炎症性免疫反応のdown-regulateとして働くことが注目され、innate immune defenseに関係し様々な細菌・ウィルス防御としての働きである。

骨粗鬆症への影響とは別に、ビタミンDがCOPDの別の合併症、すなわち、骨格筋筋肉脆弱性、心血管疾患、癌などといったものへの影響も考えられる。

現行の治療で疾患回復かなり困難であるため、ビタミンDの広範な可能性へかける意味があるのだろう。

血中25-OHD値と肺機能値の至適値を検討する研究が必要



免疫:Vitamin D: its role and uses in immunology
(The FASEB Journal. 2001;15:2579-2585.)を参照する論文集を読めば雰囲気がわかる

筋肉:Role of Vitamin D in Skeletal Muscle Function
Endocrine Reviews 7 (4): 434-448・・・同様


Biochemistry and Physiology of Vitamin D

http://vitamind.ucr.edu/biochem.html

by internalmedicine | 2009-04-18 10:48 | 呼吸器系  

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