ALLHAT研究結果再考:やはりサイアザイド系利尿剤の優秀性を提示
2009年 05月 12日
その中でも、ALLHAT研究ってのは、随分、あおられた気がする。
でもその内容の衝撃は、その後の降圧剤選択に重要な役割を果たしたことは確かで、私は、それまで、高齢医師たちの治療として見向きもしなかったサイアザイド系利尿剤を主体に使うようになった。
カルシウム拮抗剤のメーカーとその御用学者たちの、苦しい言い訳の洪水が、みてて、漫画並みに面白かった。その人たちが、今や合剤発表で正反対のことを言うこともある・・・ことで、真に偉い先生ってのは目立つ先生たちにはいないのだなぁ・・・と納得。
だが、確かに、使ってみると、尿酸が徐々にあがることや、耐糖能悪化につながってるのではないかというケースが見つかると・・少々私自身がトーンダウン。日本人は心不全や心血管系イベントより脳血管イベントに重きを置くべきという意見もあり、悩みながら、現在に至っている。
その間に、心不全、新規発症糖尿病、心血管疾患後遺症などの問題を含め新しいトライアル、メタアナリシス、サブグループ解析・説明解析などALLHATを含めた形で行われてきている。
ALLHAT研究側の再考察で、やはり、利尿剤の優越性が述べられている。
ALLHAT Findings Revisited in the Context of Subsequent Analyses, Other Trials, and Meta-analyses
Arch Intern Med. 2009;169(9):832-842.
・Chlorthalidoneは、
(1)doxazosin mesylateより優れる
・CCVD(リスク比 [RR], 1.20; 95% 信頼区間[CI], 1.13-1.27)、特に心不全(RR, 1.80; 95% CI, 1.40-2.22)・卒中(RR, 1.26; 95% CI, 1.10-1.46)において)
(2)lisinoprilより優れている
・CCVD (RR, 1.10; 95% CI, 1.05-1.16)、卒中(黒人のみ)、心不全 (RR, 1.20; 95% CI, 1.09-1.34)
(3)amlodipine besylateより優れている
・心不全予防、総数(28%)、入院・死亡例予防 (26%)
心不全入院中心の独立盲目化再評価にてその差異はさらにはっきりしている。
結果は年齢、性別、人種(卒中、CCVDをのぞく)、糖尿病状態、メタボリックシンドローム状態、腎機能状態によっても一致している。
amlodipineもlisinoprilも、糖尿病状態、腎機能レベルにより、ESRD全般予防に対して、chlorthalidoneより優ることはない。
cholorthalidone群では、新規発症糖尿病はCCVDと有意に関連せず(RR, 0.96; 95% CI, 0.88-2.42)
ALLHATの後続解析や他の臨床アウトカムトライアルからのエビデンスで、αブロッカー、ACE阻害剤、CCBもサイアザイド系利尿剤(適切量なら)を、心血管・腎臓リスク減少としての効果は、それを陵駕しない。
サイアザイドは心不全予防に優れ、サイアザイドに関連した新規発症糖尿病はCVDアウトカムに影響を与えない
大先生の言うごとく、・・・結局は、血圧は、塩の病気・・・ってことになりそう
by internalmedicine | 2009-05-12 09:27 | 動脈硬化/循環器