ACCOMPLISHトライアルに関する議論: カルシウム拮抗剤の多面効果の有無
2009年 05月 13日
カルシウム拮抗剤の逆襲:ACCOMPLISHトライアル 2008-04-02の結果は久しぶりにCCBの復権を・・・とおもわせた。
ACCOMPLISHトライアルの疑問は”より長期作動性の利尿剤chlorthalidone(ハイグロトン)よりhydrochlorothiazide(ベハイド)を用いたトライアル”に対してであり、これは、24時間血圧低下作用が十分でないから、このような差がでたのではないかというものらしい。
”ASH: Hypertension: American Society of Hypertension Meeting : Calcium Channel Blocker Benefits in ACCOMPLISH Not Explained by Ambulatory BP”
主要所見は、ACE阻害剤benazepril併用の初期治療として心血管死亡・合併症にてCCB(ノルバスク) vs 利尿剤hydrochlorothiazideにて、心血管死亡・合併症にて20%減少が明らかだった
ACCOMPLISH、573名の解析では、クリニック内収縮期血圧はアムロジピン+benaziprilとhydrochlorothiazide+benaziprilでは0.6 mm Hgの差があった (129.7 versus 130.3 mm Hg, P=0.621).
しかし、24時間血圧平均は利尿剤ACE併用で良好 (122.3 versus 123.9 mm Hg, P=0.128)で、昼間・夜間平均も然り(P=0.097 and P=0.332)であった。
拡張期血圧に対しては、利尿剤併用群が0.3 mmHgのadvantageだが有意差無し(P=0.7)
いづれも有意な差ではなく80%血圧コントロール率をえることができた(CCB 81.3%、利尿剤 84.9% , P=0.243).
Dr. Bakrisは、CCBが血管内皮機能に対して”pleiotropic" benefitが有り、動脈硬化プロセスを同様な血圧にかかわらず心血管リスクを低下させるかもしれないと主張。
それに対して、示された最新臨床トライアルは懐疑的であると、Yale UniversityのMarvin Moser, M.Dは、過剰コメント(overstated)の可能性があると述べている。“データの偏りは特異的薬剤効果でなく、血圧のそれであることだ”と述べている。
JNC7ではサイアザイド系利尿剤を初期治療として推奨している。
同じセッションの他の研究提示では、Dr.Bakrisが、左室肥大退縮にたいして差がないと述べている ( ASH: Lower Blood Pressure Trumps Regimen in LV Remodeling)
by internalmedicine | 2009-05-13 17:53 | 動脈硬化/循環器