統合失調症の犯罪:薬物乱用と強く関連する暴力犯罪

"触法"犯罪者数というのは、その国の法律体系に依存するので、国毎に考察すべきである。

ただ、殺人などは、統合失調症全体で考えるより、アルコール依存を含めた薬物依存合併の統合失調症者の分析にその焦点が移ってきているようである。

統合失調症を持たない一般人に比べ暴力犯罪を犯すリスクは4-6倍と考えられている。
しかし、リスク推定は横断研究であり、リスク増加を介する不確定因子が考えられる。
この点は不明であるが、現行ガイドラインでは、暴力リスク評価を統合失調症患者全員に行うべきとしている。
という前書きからはじまっている・・・

Schizophrenia, Substance Abuse, and Violent Crime
JAMA. 2009;301(19):2016-2023.
長軸デザイン研究で、入院、有罪判決されたスウェーデン国内居住者データ利用
統合失調症(n=8003)を一般住民(n=80025)と比較

主要アウトカム測定は暴力犯罪有罪:殺人、暴行、強盗、放火、全ての性的犯罪、非合法な脅し、恐喝)

統合失調症で少なくとも1回暴力犯罪を起こしたのは、1054(13.2%)で、一般住民は4276 (5.3%)(批正オッズ比 [OR], 2.0; 95% 信頼区間 [CI], 1.8-2.2)
リスクはほぼ薬物乱用に伴うものに限定(27.6%が暴力犯罪に関与)し、結果そのような患者での暴力犯罪の増加(補正 OR, 4.4; 95% CI, 3.9-5.0)をもたらす

薬物乱用のない統合失調症患者では、リスク増加は少ない(最低一回の暴力犯罪8.5%; 補正 OR, 1.2; 95% CI, 1.1-1.4; P<.001 for interaction).

薬物乱用にかかわる合併犯罪リスク増加は、対照として未罹患兄弟をもちいると有意に減少する(暴力犯罪比率は、統合失調症罹患のない兄弟が17.9%であるのに対して、統合失調症の兄弟がいる場合28.3%)、有意にすくない・・・このことは、家族内の影響、統合失調症、暴力の関連が示唆される


”触法精神障害者”の問題は、定期的に生じる・・・

触法精神障害者問題の再犯は少ないらしい・・・・でも対策は必要
統合失調症患者の暴力行為の国家的研究(米国)

by internalmedicine | 2009-05-20 10:35 | 精神・認知  

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