特定年齢以上なら、事前血圧値にかかわらず降圧剤全て使用すべき?

冠動脈性心疾患(CHD)、卒中予防のための降圧剤クラス相違による定量的有効性と誰が対象者になるべきかの検討結果

結論はいつものごとく、”β遮断剤の心筋梗塞後"extra”予防効果と、CCBの卒中予防時の軽度追加効果”で、ほぼ全ての薬剤でCHDイベント・卒中に対する類似効果が認められている。
降圧治療ガイドラインはシンプルに、全ての血圧レベルの患者に用いるべきということになり、
特定年齢を超えたら全ての人への降圧治療を考慮すべきということを示唆する。

Use of blood pressure lowering drugs in the prevention of cardiovascular disease: meta-analysis of 147 randomised trials in the context of expectations from prospective epidemiological studies
BMJ 2009;338:b1665

CHD・卒中イベントのランダム化トライアル、108トライアル:対象薬剤vsプラセボ対照、46トライアル:薬剤相互比較、3つのランダム化トライアル群の7つのトライアルは両カテゴリーに組み入れ
958,000名対象

464,0003つの相互排他的カテゴリー分け:心血管疾患既往無し、CHD既往、卒中既往

多種β遮断剤は特異的に血圧降下より以上の特異的効果:CHD既往者のCHDイベント再発予防 29% (95% 信頼区間 22% ~ 34%) vs  c他の薬剤 15% (11% ~ 19%)
ただ、このextra effectは、至近の梗塞がないCHD患者の13%に比べて、心筋梗塞後数年の31%のリスク減少で、発症後に限定されたものであった(P=0.04)

CHDありの患者のβ遮断剤トライアルのCHDイベントをのぞき、他の血圧差トライアルでは、収縮期血圧10mmHgもしくは拡張期血圧5mmHg毎に、CHDイベント22%(17%~27%)減少、卒中41%(33%~48%)減少
コホート研究メタアナリシスからの血圧差予測である、CHD 25%、卒中36%減少と類似し、そのベネフィットは血圧減少効果そのものであることを示唆する。

5種主要降圧剤(サイアザイド、β遮断剤、ACE阻害剤、ARB、CCB)は、CHDイベント、卒中予防に関して、同様に(数パーセントポイント内)効果有り、例外はCCBが卒中により効果有り(相対リスク 0.92, 95% 信頼区間 0.85 ~ 0.98)

CHDイベント、卒中のパーセンテージ減少はCVD疾患無しの人たちでも同様で、治療前血圧にかかわらない(”収縮期 110mm Hg かつ 拡張期 70 mmH”g以下)

2つ以上の他の研究からの結果の組み合わせ(投与量による降圧効果決定の血圧コホート研究・トライアルのメタアナリシス)から、60-69歳の年齢の拡張期血圧90mmHgの患者ではCHD推定リスク減少46%、卒中推定リスク減少62%で、標準薬剤の一つではこの効果の約半分であることが示唆された。

このメタアナリシスでも、心不全発生に関して、CCB外薬剤 24%(19%~28%)減少、CCBで19%(6%~31%)減少




CHDイベント・卒中の相対リスク推定:拡張期・収縮期血圧事前データに応じた血圧差による変化:プラセボ比較





薬剤投与量、薬剤数、事前拡張期血圧、年齢に応じた血圧減少とCHDイベント・卒中頻度減少効果




薬剤優先とは言わないが、メタボなんて指導するより、血圧コントロール指導した方が、効果が大きいだろう。体重・耐糖能よりひょっとしたら、減塩が一番効果的なのかもしれないと・・・高血圧学会のお偉い方の話を最近きいて思った。

by internalmedicine | 2009-05-22 10:33 | 動脈硬化/循環器  

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