結腸ファイバーRCT:直腸結腸癌7年フォローアップ 効果の評価判定には長期間必要
2009年 06月 05日
今回の研究ランダム化研究ITT解析で、6年フォローアップでの直腸結腸ガン死亡率減少効果は有意ではなかった。直腸結腸ガンの累積頻度は検診群・対照群とも同様であった。だが、死亡率リスクは対照群より少なく、全結腸直腸癌より、直腸S状結腸では少なかった。
これは7年フォローアップがあまりに早期過ぎて頻度減少を検知できなかった可能性がある。
7年のランダム化トライアルにて、S状結腸ファイバースコピーとポリープ切除の効果は結果的にその効果は遅れて出現することが分かった。
flexicble sigmoidoscopyのランダム化トライアル:Risk of colorectal cancer seven years after flexible sigmoidoscopy screening: randomised controlled trial
BMJ 2009;338:b1846
55-64歳の55736名の男女(ノルウェー、オスロとTelmark地域)
比較:1回のflexible sigmoidoscopy+1回の便潜血検査(±) vs検診なし
7年の直腸結腸ガン累積頻度の差異はスクリーニング群と対照群でなし (134.5 v 131.9 症例/ 100 000 人年)
ITTスクリーン解析で、直腸結腸ガン死亡率減少傾向はあった(ハザード比 0.73, 95% 信頼区間 0.47 to 1.13, P=0.16)
対照と比較して、統計的な有意な死亡率減少が直腸結腸ガン・直腸S状がんでみられた (ハザード比 0.41, 0.21 ~ 0.82, P=0.011、0.24, 0.08 ~ 0.76, P=0.016)
Cumulative hazard for colorectal cancer in screening and control groups
興味あるのは、 ”Cumulative hazard for rectosigmoidal cancer among attenders compared with control group”の図
観察期間がみじかければ、検診の効果を過小評価することにつながる。
従来、検診にかかるバイアスに関して、以下のことがよく語られている。
レングス・バイアス:検診は成長のゆっくりしたがんを見つけやすく、外来患者のがんに比べ予後が良くなる可能性を示しています
リードタイム・バイアス:がんの成長や進展に関与するもので、検診によって発見された患者は有症状のために外来を受診した患者に比べ、がん発見が早いことから、見かけ上生存率が増加する
http://canscreen.ncc.go.jp/kangae/kangae3.html
他、”ボランティア・バイアス(volunteer bias):非ボランティアよりボランティアを選んでしまうことの偏り”(肺ガン検診の推奨度は最低(Grade I)にもかかわらず、肺ガン検診は続く・・・・日本 2004-05-05)
by internalmedicine | 2009-06-05 09:01 | がん