老人:スタチン治療と市中肺炎リスク減少効果は幻?
2009年 06月 19日
Statin use and risk of community acquired pneumonia in older people: population based case-control study
BMJ 2009;338:b2137, doi: 10.1136/bmj.b2137 (Published 16 June 2009)1125名の肺炎確認例と2235名のマッチか対照
対照比較で、症例では肺・心臓疾患が多く、特に重篤例が多く、機能的あるいは認知機能の異常が多い
現行のスタチン使用は症例で16.1%(181/1125)、対照で14.6%(327/2235)(補正オッズ比 1.26、 95%信頼区間 1.01-1.56)
入院ケースとそれにマッチされた対照比較で、現行のスタチン使用は17.2% vs 対照 14.2%(補正オッズ比 1.61、 1.08-2.32 、スタチン使用無しと比較)
スタチン二次予防適用群で、補正オッズ比は現行スタチン使用に関して肺炎リスク補正オッズ比は1.25(0.94-1.64)で、適用無しでは0.81(0.46-1.42)
HMG Co-Aリダクターゼ阻害剤、いわゆるスタチンは、心血管疾患予防・治療に用いられている。感染に関する合併症・死亡率減少の可能性があり、それに関する期待が高まっている。炎症反応や免疫機能への多くの影響があり、炎症性サイトカイン産生、好中球imigrationやchemotaxisなど減少させる。2000年のAndoの報告()で、マウスモデルでのスタチンと敗血症にて生存率改善とサイトカイン、NO産生減少を見いだしたもの。2001年にはLiappinsらがヒトにおいてスタチンと感染性アウトカムを報告している。その後も多くの疫学的報告がされたが、バイアスが否定できなかった。脆弱な老人や重症合併症の場合ではスタチンのunderuseなど、”healthy user" effectが見られた。
by internalmedicine | 2009-06-19 09:55 | 呼吸器系