高齢者の社会的活動と運動能力低下

高齢者をみていると、近所とのふれあいや集落活動などを含め元気のある人は、身体能力も高い。だから、この報告ももっともと思う。社会の方が孤立しやすい老人たちを社会活動に導く活動は常になされるべきだと思う。地域密着性が低い都市部の老人たちにそういう機会を与えるよう社会がおもんばかるべきだろう。

だが、社会的活動性が無くなるから、身体運動が低下するのか、また、逆も考えられるのか?症例対照研究で、因果関係、causal effectについて検討するのはなかなか難しいと思う。

Association Between Late-Life Social Activity and Motor Decline in Older Adults
Arch Intern Med. 2009;169(12):1139-1146.
平均 (SD)社会的活動スコアは ベースラインで2.6(0.58)で、年齢、性、教育補正、、一般化推定公式モデルにて、全般運動機能は0.05U/年 (estimate, 0.016; 95% 信頼区間 [CI], –0.057 ~ 0.041 [P = .02])減少

社会的活動1ポイント減少毎に33%の運動機能低下と相関 (estimate, 0.016; 95% CI, 0.003 ~ 0.029 [P = .02])

全般運動機能低下ベースラインの社会的活動スコア一ポイント減少毎に約5年老け込むことと同様(age estimate, –0.003; 95% CI, –0.004 ~ –0.002 [P<.001])

さらに、運動年次衰退量は40%リスク増加と相関(ハザード比, 1.44; 95% CI, 1.30 ~ 1.60)
偶発Katz disabilityのリスク65%増加 (ハザード比, 1.65; 95% CI, 1.48 ~ 1.83)

全般運動減衰率の社会的活動関連は、後期運動・認知能力・障害・全般うつ症状・体組成・慢性医学的状況などの寄与因子補正後、人口統計的線上においてばらつきが無く不変 (estimate, 0.025; 95% CI, 0.005 ~ 0.045 [P = .01])


少々マニアックな解析の追加がこの論文には必要と思う



Theory And Methods Estimating causal effects
International Journal of Epidemiology 2002;31422-429
(pdf)

共役因子補正固定効果回帰モデル(fixed-effects modeling)と構造方程式モデリング(structural equation model:SEM)を用いて、原因の方向性確認試験を一般住民サンプルでおこなったもの
アルコール乱用はうつを起こすが、逆は真でない。 2009-03-03

by internalmedicine | 2009-06-24 11:44 | 消化器  

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