新しい常識:抗生剤併用療法 良かったり悪かったり
2004年 03月 19日
歴史的にも免疫力の弱い人には多剤併用がよく使われてました。
“βラクタム系とアミノ配糖体系抗生物質を併用すると相乗効果 synergism がある"と信じていたのですが・・どうも違うらしいです。
2剤のほうが1剤より効くとはかぎらず、かえって副作用が問題という結果に・・・
免疫不全患者のβラクタム単剤治療 vs βラクタム+アミノグリコシド併用:システムレビュー・メタアナリシス
BMJ 2004;328:668 (20 March)
──────────────────────────────────
・64トライアル、7586患者
・全原因死亡率:差無し(relative risk 0.90, 95% confidence interval 0.77 to 1.06).
・併用群は、全般的分析(0.87, 0.78 to 0.97)でも、他種βラクタム使用分析研究(0.76, 0.68 to 0.86)でも 治療失敗が多かった
・腎障害が併用治療で多い(0.36, 0.28 to 0.47).
──────────────────────────────────
先行論文<" pdf ">があります。
ところで、一番最初に紹介したWebで書かれているごとく殺菌的薬剤と静菌的薬剤の併用を理論的に意味がないとするひとがいますが、すくなくとも、肺炎球菌に関してはそうとはいいきれないのです。
理論からだけ考えられた詭弁(・)ではないかなと・・
以下をどう説明するんだ・・・と問いたい問いたい・・・
ref.肺炎・ガイドライン(NGC)
ref.併用療法の方が入院死亡率低下
世の中には確とした根拠なく、当て推量だけで、発言・執筆をする人が多く(俺もかあ・・・自爆します)
前者は2剤併用の方がわるく、肺炎球菌敗血症に関しては早期から2剤併用、一部悪口をいうひとのいる併用療法の方が良いという・・・一般論では片づけられません。
とくに抗生剤の世界では、いい加減なことがひとりあるきし、妄想が、一番の例は抗生物質の皮内反応で、変な悪風習が日本に根付いてしまったのです。
世界的にセフェム系やキノロンで皮内反応する国は日本だけ、ペニシリン系で皮内反応するのはアレルギーの疑われる人だけなのに・・・
その廃止さえ日本化学療法学会は実行できなかったのです。
こういう報告書を作っていながら・・
↓
本部会は以下のような提言を行いたい。現在,アナフィラキシーの予知に用いられている注射用のペニシリン系,セフェム系,カルバペネム系,モノバクタム系,キノロン系およびペプチド系抗菌薬の皮内反応は可及的速やかに中止されることを提言する。社団法人日本化学療法学会臨床試験委員会 皮内反応検討特別部会報告書
医療訴訟をおそれるためだけで・・・・
日本はすでに医療訴訟大国になっており、悪貨が良貨を駆逐しつつあるのです。
医者がすべて悪者であるというマスゴミ野郎のせえでもあり、にえきれないお偉いさんたちのせいでもありますが。
by internalmedicine | 2004-03-19 12:18 | 内科全般