ヨーロッパ13ヶ国:急性咳嗽への抗生剤処方比率は症状改善に影響与えず
2009年 06月 26日
百日咳とかマイコプラズマなどが混在している場合を想定してないし、不完全な研究だと思うのだが、抗生剤不要という結論は、欧米での報告ではacceptされやすいようだ。
抗生剤薬剤耐性は急激に世界中に広がり、2007年に30ヶ国で肺炎球菌の10%でペニシリン感受性無しとなっている。ヨーロッパの通常患者への抗生剤使用頻度にはばらつきがある。急性咳嗽はもっとも受診理由の多い病気の一つで、下気道感染でのGP受診患者での比率は、オランダ約27%、UK75%などばらつきが大きい。抗生剤処方が多くても回復速度に変化がないということがトライアルエビデンスで示唆されるが、その根拠となるデータベースの大きさが小さく、case mixのインパクトとしては不明
処方レベルの高いところは疾患重症度のばらつきで説明されるかもしれないし、そのばらつきが常に不適切処方というわけでもないだろう。
横断的観察研究、14のプライマリケア研究ネットワークで、13ヶ国におよぶ受診時記録の検討で28日フォローアップ
Variation in antibiotic prescribing and its impact on recovery in patients with acute cough in primary care: prospective study in 13 countries
C C Butler, K Hood, T Verheij, P Little, H Melbye, J Nuttall, M J Kelly, S Molstad, M Godycki-Cwirko, J Almirall, A Torres, D Gillespie, U Rautakorpi, S Coenen, H Goossens
BMJ 2009;338:b2242 (Published )
ARIMAモデルから推定回復カーブ
3402名で回収(ケースレポート完遂99%、症状日記80%)
平均症状重症度スコアは、スペイン・イタリアの19からスウェーデンの38まで分布
ネットワーク毎の抗生剤処方比率は20%から90%近くまで分布(全体平均は53%)
アモキシシリンは全体的にもっとも処方されているが、ネットワーク毎に、ノルウェーの3%からイギリスの83%まで分布はばらつく
フルオロキノロンは3つのネットワークすべてで処方されてないが、Milan ネットワークでは18%が処方されていた。
臨床症状・人的統計学的指標補正後、抗生剤処方はノルウェー(オッズ比 0.18, 95% 信頼区間 0.11 ~ 0.30) からスロバキア (11.2, 6.20 ~ 20.27)までばらつき、全体平均は0.53
回復速度は、臨床症状斟酌k後、処方・無処方で同様 (coefficient –0.01, P<0.01)
この種の報告は、抗生剤処方批判に傾くに決まってるわけで・・・予想通りの結論
症状重症度を日記から計算し、13の症状の合計で、0-100までスコア化したもの
ARMA model を処方に関連したアウトカム変数評価に利用
ARMA (1,1) model は、2つの組み合わせとしての自己回帰部分と、変動平均部分・観察結果発現部位からなる
Xt=εt+Xt–1+εt–1
Xt :tの時の症状重症度
εt :error termすなわち 誤差項
個々の患者の症状重症度スコアと事前期間に関連する関連する誤差項を示す
現実の、日常臨床では、早期にマイコプラズマなどを除外することが必要だろう・・・百日咳も?
by internalmedicine | 2009-06-26 10:30 | 感染症