老人の院内心肺蘇生後の疫学研究:生存率増加も見られず、施設への収容を増やしている
2009年 07月 02日
最終的に何が言いたいのか分からないのだが、サマリーの結論に“ The proportion of in-hospital deaths preceded by CPR increased, whereas the proportion of survivors discharged home after undergoing CPR decreased.”とあり、老人の院内CPRは生存率もここ10数年成績もあがらず、施設への収容数を増やしているばかりだと・・・ネガティブな部分を報告しているのだろう。
Epidemiologic Study of In-Hospital Cardiopulmonary Resuscitation in the Elderly
N Engl J Med. Vol. 361: (1) 22-31 Jul. 2, 2009
433,985名の院内CPR施行された患者で、これらの患者の18.3%(95%信頼区間「CI], 18.2-18.5)が生存退院
生存率は1992から2005年で変化無し。CPRの総括頻度は1000入院で2.73。黒人、非白人で頻度が高い。死亡前入院CPR施行患者比率は時とともに増加し、非白人で比率が高い。生存率は男性患者で低く、基礎疾患が多いほど、スキルのある看護施設から転院ほど予後が悪い。
黒人患者の補正生存オッズ比は23.6%白人より低い (95% CI, 21.2 to 25.9)
人種・生存相関は、hospital effectで部分的に説明できる。黒人は心肺CPRが低い病院でCPRがなされることが多いからである。
院内CPR生存患者は、退院後、自宅への比率は、施設への転院に比べ、時と共に、減少している。
心肺蘇生(CPR)は、臨床的状況において特異的な介入から、病院内外の心停止への対応のdefaultとして広がり、劇的にCPR後の生存率が改善している。さらに、CPRの院外の急激な導入により院外でのアウトカムも改善している。しかし、CPRの発展心停止後のケアの発展が院内心肺停止後のアウトカム改善につながるか不明である。院内CPR後の他院生存率は7%→26%と改善している。
大規模研究National Registry of CardioPulmonary Resuscitation、14720のCPRイベントを含む検討では、退院生存17%と報告されている。CPR後の年齢と生存率の関係は不明のままであった。黒人も院内・院外CPRの低い生存率と相関し、除細動の遅れと関連する。
院内CPR後の患者が医療機関への転院より自宅への退院が少ないことが、入院期間減少に寄与している。
by internalmedicine | 2009-07-02 11:28 | 動脈硬化/循環器