システマティックレビュー&メタアナリシス:アディポネクチンと2型糖尿病発症リスク

アディポネクチン値とその後の2型糖尿病が用量依存的関係にあるとしても、そのcausal effectは未だ不明。
"whether this apparent parallelism between low plasma adiponectin levels
and insulin resistance represents a cause and effect relationship was not known "(Endocrine Reviews 26 (3): 439-451
とされながら、”メタボ検診の精神的支柱”・”ご本尊”と、もちあげられ(でっち上げられ)たアディポネクチン


前向き研究のシステマティック・レビュー&メタアナリシス

Adiponectin Levels and Risk of Type 2 Diabetes
A Systematic Review and Meta-analysis
Shanshan Li, MD, MSc; J Joon Shin, MD, MPH, MS; Eric L. Ding, ScD; Rob M. van Dam, PhD
JAMA. 2009;302(2):179-188.


13の前向き研究、14598名参加、結果的に2623名の2型糖尿病発症のメタアナリシスにおいて、高アディポネクチンは単調に2型糖尿病リスク低下と相関。
2型糖尿病相対リスクは、0.72(95%信頼区間, 0.57-0.78)/アディポネクチン 1-log μg/mL増加毎

この逆相関関係は、白人、東アジア、アジア系インディアン、アフリカ系アメリカン人、アメリカ原住民を通して一致。アディポネクチン分析、糖尿病確認方法、フォローアップ機関、女性比率などにかかわらず一致。
アディポネクチン1-log μg/mL増加毎の推定絶対リスク差(1000人年症例)は、老人アメリカ人で3.9、IGTを有するアメリカ人で30.8


原因結果関係、causal link などがこれではっきりしたと誤解されては大問題!

RPは虚血性血管疾患の原因ではない:mendelian randomization法による解析2008-10-30等に準じた"causal link”解析が必要だろう。

CRPは単にたんなる反応の良い“by-stander”に過ぎない可能性が大だろう。だって、直接作用としては、“肝臓のAMPKを活性化させることによるインスリン感受性の亢進”なのだから・・・


アディポネクチンを主体にしたメタボ啓蒙運動には無理がありすぎるのだ・・・


Medpage(http://www.medpagetoday.com/Nephrology/Diabetes/14995)の記載:
"Currently, adiponectin is among the strongest and most consistent biochemical predictors of type 2 diabetes," the authors concluded.

However, they noted that epidemiological studies cannot establish causality or exclude the possibility that adiponectin is a surrogate marker.
・・・妥当なコメントだろう。2型糖尿病発症リスク予想には役立つが、疫学的研究であり、原因結果関係に関しては何も言えない。

by internalmedicine | 2009-07-08 09:06 | 動脈硬化/循環器  

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