PPARα・γデュアルアゴニスト:SYNCHRONY
2009年 07月 10日
SYNCHRONYトライアル:PPARα・γアゴニストaleglitazarの有効性と安全性 2009-06-16
SYNCHRONYトライアルのエディトリアル(The Lancet, Volume 374, Issue 9684, Pages 96 - 98, 11 July 2009 )
dual peroxisome proliferator-activated receptor [PPAR]-α/γ agonistということで、今後第三相で臨床的期待が持てる薬剤となった。
ただ、あくまで、phase IIなので、結論づけ不能
Steno 2(Gaede P, Lund-Andersen H, Parving HH, Pedersen O. Effect of a multifactorial intervention on mortality in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 580-591.)研究により、multiple target治療が重視されはじめた。
PPARは、脂質・ブドウ糖の代謝調節の役割があり、フィブラートなどで、PPAR-α作用、チアゾリジネヂオン群でPPAR-γの抗糖尿病作用が示されている。
PPAR-α/γのdual agonistならインスリン抵抗性、高血糖、動脈硬化原性脂質異常症への期待がもてるのでは・・・なんせ、糖コントロールしても細小血管より大きい病変・・・動脈硬化への治療効果には疑問が持たれていたので、期待が持てるということ
PPAR-α アゴニストは lipid oxidationを刺激し、循環中のTGを減少させ、HDLを増加させ、抗動脈硬化作用がある。
FIELDトライアルでは、fenofibrateは心血管ベネフィットを有意に示せなかったが、post-hoc解析で、微小血管、網膜病変、minor amputationへのベネフィットを認めた。
PPAR-γアゴニストは、脂肪細胞の分化刺激、インスリン感受性改善し、高血糖減少で、動脈硬化の多様性予防効果が提示されているが、臨床的アウトカム研究ではPROactive研究だけで、効果は、16%のセカンダリエンドポイント(死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的卒中の組み合わせ)改善であった。プライマリエンドポイントで有意差がなかったのが問題だが・・・
PPAR-α:TG減少、循環中FA減少
肝臓:AopA、AII増加、ApoCIII低下 →HDL増加
FFA酸化増加、TG合成減少
脂肪細胞:FA遊離減少
FA uptakeと貯蔵増加
PPAR-γ:筋肉FA uptake・貯蔵低下
ブドウ糖利用増加
インスリン感受性亢進
心臓・血管マクロファージからのコレステロール流出
前炎症・接着分子低下
心臓脂質異常
様々な多様効果
両作用として、脂肪化減少、高血糖減少、脂質異常減少、血管内皮機能亢進、動脈硬化減少
by internalmedicine | 2009-07-10 16:04 | 動脈硬化/循環器