CSFバイオマーカーで初期アルツハイマー病を予測できるか?
2009年 07月 22日
ADの病理的hallmarkerは、タウ蛋白からなるニューロンの細胞内神経原線維変化であり、原繊維内のシナプス毒性βアミロイド(Aβ)ペプチドの細胞外沈着である。ニューロンの変化はまた、認知症発症しない老人でも見られ、その発症に関して先行性病的所見ではないかと議論がなされている。一方、γ-とβ-secretase inhibitorやワクチンレジメンの開発が急で、早期診断の重要性が高まっている。
で、客観的バイオマーカーで発症予測ができないか・・・という話
先行研究
Association between CSF biomarkers and incipient Alzheimer's disease in patients with mild cognitive impairment: a follow-up study
The Lancet Neurology, Volume 5, Issue 3, Pages 228 - 234, March 2006
今回多施設研究
CSF Biomarkers and Incipient Alzheimer Disease in Patients With Mild Cognitive Impairment
JAMA. 2009;302(4):385-393. :フルテキスト
多施設前向きコホート研究で、Mattssonらは、いくつかのアルツハイマー疾患CSFバイオマーカーの正確性を評価し、βアミロイド1-42、総タウ蛋白、リン酸化タウはアルツハイマー初期とMCI患者で予測余韻となることが判明。これら3つのCSFバイオマーカーは、中央値3年経過フォローアップにおいて、良好な正確性を示した。
しかし、バイオマーカーに基づくアルツハイマー病予測は、担肢節研究で報告されたより、正確性が低く、アッセイにおける施設間のばらつきが認められた。
8ヶ国12施設で、750名のMCI、529名のアルツハイマー病、304名の健常者
フォローアップ中、271名がMCI、11%の年間発症と判断
Figure 1. Percentage of Patients With MCI Who Developed Alzheimer Disease by Quintiles of CSF T-Tau and CSF Aβ42/P-Tau Ratio
アルツハイマー病発症AUR解析にて3つの蛋白値
* Beta-amyloid1-42: 0.78 (95% CI 0.75 to 0.82)
* Total tau: 0.79 (95% CI 0.76 to 0.83)
* Phosphorylated tau: 0.76 (95% CI 0.72 to 0.80)
Figure 2. Scatterplot of Cerebrospinal Fluid (CSF) Aβ42:P-Tau Ratio and CSF T-Tau in Patients With Alzheimer Disease and Controls
アルツハイマー病と後にアルツハイマー病に移行したMCIは。β-amyloid1-42は対照群の約半分。総・リン酸化タウ蛋白は、雑に言えば約二倍。
アルツハイマー病への発症予測において、感度は83%(95%CI 78-88%)で、特異度72%(95% CI 68%-76%)
以前の137名の患者の単一施設研究の約10%ポイント低下における診断予測価値より低かったが、患者のスペクトラムの狭さにより、過剰なリスク診断正確性を導いていたのかもしれないと著者らは述べている。
by internalmedicine | 2009-07-22 08:57 | 精神・認知