重症患者迅速挿管補助:麻薬指定で使いにくくなったケタミンは、etomidateと同等

ケタミンは麻薬指定されて、臨床の場でますます使いにくくなった。特に、救急時挿管の時、その手間はクリティカルであろう。

以下の論文はケタミンは、緊急挿管時、etopmidateと有用性大差なしという結論となるのだが、日本では逆に、etopmidateを緊急時挿管用に承認してくれないか!

Etomidate versus ketamine for rapid sequence intubation in acutely ill patients: a multicentre randomised controlled trial
KETASED Collaborative Study Group
The Lancet, Volume 374, Issue 9686, Pages 293 - 300, 25 July 2009


緊急挿管のための夫デーションが必要な患者655名、12EMS・ED、65ICU(フランス)での前向き研究

etomidate 0.3mg/kg(n=328)
ketamine 2mg/kg(n=327)


プライマリエンドポイントは、ICU当初3日の連続する臓器不全の最大スコア
入院前死亡、3日前のICU退出を除外

etomidate群解析234名とketamine群235名の比較

平均最大SOFAスコアは有意差無し(etomidate 10·3 [SD 3·7] vs ketamine 9·6 [3·9] ;平均差 0·7 [95% CI 0·0—1·4], p=0·056)
挿管コンディションに有意差なし(両群とも 挿管困難スコア中央値 1 [IQR 0—3] i; p=0·70)

副腎不全患者の比率はketamin群よりetomidate群で高い(OR 6·7, 3·5—12·7)
両群とも重篤な副事象イベント記録無し


これを見れば、論文の記載項目の理由が分かる

エトミデート(etomidate)

http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/analg-anes.html#etomidate

* 日本未発売の非バルビツレート系全身麻酔薬、鎮静、催眠薬
* GABAA受容体作動薬と考えられている。
* 作用時間が極めて短く、血圧の低下を生じない特徴がある。
* 古くから脳外の世界では、脳神経保護の標準治療麻酔薬とされていたが、検証されていない。欧米では、緊急挿管時にはしばしばエトミデートが使用されている。
* エトミデートは用量依存的な11βヒドロキシラーゼ阻害により可逆的な副腎不全を引き起こすリスクがある。
* TRPA1チャネルを活性化するために、灼熱感を感じる。

by internalmedicine | 2009-07-24 08:51 | 集中・救急医療  

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