老人失神に対するSFSR:無駄な検査を省く?

失神と行っても、血管のトーヌスや血液量による変異による失神だけでも、Vasovagal (vasodepressor, neurocardiogenic)、Postural (orthostatic) hypotension、Carotid sinus hypersensitivity、Situational、Glossopharyngeal neuralgiaなどがある。まぁこれを含め、心臓疾患、脳血管疾患、代謝性疾患などの病気を鑑別するのには、以下のルールは一見、乱暴だが、全体的に見れば、無駄を省く方法論となる。

日本でこれやったら、「なんで、CTしないのか」と騒ぐ患者家族もおおいだろうし、検査するところへ患者が殺到することになり・・・コスト増加となる・・・こういう検討はほとんどなされていない。医者原罪説のみ取り上げるが・・・

San Francisco Syncope Rule:Wikipediaに書かれてる


計算:http://www.mdcalc.com/san-francisco-syncope-rule-to-predict-serious-outcomes



Yield of Diagnostic Tests in Evaluating Syncopal Episodes in Older Patients
Arch Intern Med. 2009;169(14):1299-1305.
65歳以上、失神エピソード後受診の2106名の連続患者を検討したところ、心電図99%、テレメトリー95%、心臓酵素試験95%、CTスキャン 63%がもっとも行われた検査
心臓酵素試験、CTスキャン、心電図、頸動脈超音波、脳波で、診断、マネージメントに影響をこの時点で与えたのは5%未満で、病因決定に役立ったのは2%未満。
体位性血圧記録はもっとも診断(18%-26%)・マネージメント (25%-30%) 、病因決定(15%-21%).に影響を与えたが、施行はわずか38%であった。
診断・マネージメントへ影響を与える検査後とのコストは、脳波 ($32 973),、CTスキャン ($24 881)、心臓逸脱酵素($22 397) で、体位性血圧記録($17-$20)は最小であった。
利益とコストはSFSR合致例で、非合致例より良好であった。
たとえば、診断、管理に影響で得られる心臓酵素あたりのコストは合致例で$10 331、非合致例で$111 518



失神の病因としては、手元のpocket medicineには neurocardiogenic 20%、orthosatic 10%、cardiovascular:不整脈 15%、メカニカル 5%、神経学的(てんかん、TIA、脳底動脈循環不全、片頭痛・・・) 10%、その他とある。

以前、失神に関して、記載したもの
NEJM(Vol. 343:(25) 1856-1862 Dec. 21, 2000)
老人失神に対するSFSR:無駄な検査を省く?_a0007242_1052377.jpg


この記事の老人に関するコメントとして、
評価困難なことが多く、基礎疾患が多く、薬物治療の影響、加齢による心理的過程などの影響がある。しかし、単一原因を探る必要があり、それでも原因特定できない場合に、侵襲的もしくは広範な検査が必要であろう。

繰り返し”薬物関連”と、頸動脈洞失神が多いため、頸動脈マッサージが推奨とも書かれている。

cf.) 神経心臓性失神 2005-03-10 

by internalmedicine | 2009-07-28 09:39 | 動脈硬化/循環器  

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