プレホスピタル挿管に思う、日本のポピュリズム医療施策
2009年 07月 31日
その後も、呼吸困難に対する院外パラメディックスALS 2007-05-24でも、言及した。
もっぱら、フジテレビ黒岩を代表とする、感情論が先行し、パラメディカル院外気管内挿管をリスクの検討無く、そして、日本では、容認後さほどそのリスクの検討がなされることなく、現状に至っている。
Davis DP, Peay J, Sise MJ, et al. The impact of prehospital endotracheal intubation on outcome in moderate to severe traumatic brain injury. J Trauma 2005; 58: 933-939.
収容前挿管が悪いことだとは言わない。だが、日本の行政の
Mort TC. Preoxygenation in critically ill patients requiring emergency tracheal intubation. Crit Care Med 2005; 33: 2672-2675.
シンボリックなのは、フジテレビ黒岩で、”医師会の既得権のため”と述べている。下卑た人間には、下卑た発想しかできないのだろう。現場をしらない人たちの物知り顔の虚言妄言により、有害事象をふりまいている可能性が高いのである。
民主党政権になれば、今後、国会で診療報酬が討議されるという、メディアの言い分とは現実は全く異なり、中医協はくそ役人や経団連の息のかかった御用学者たちの密室談義でなりたっている。それを考えれば幾分マシな部分もあるのではないかという考えはあまいのだろうか?
でも、怖い部分は、黒岩のような声の大きいだけのメディアが、ふたたび、現実無視の施策を言いだし、それにのっかったかたちのポピュリズム医療政策をしないかどうか・・・とても不安である。
先週のLancet記事(重症患者迅速挿管補助:麻薬指定で使いにくくなったケタミンは、etomidateと同等 [2009-07-24 08:51 by internalmedicine])のエディトリアルを読みながらそう思った。
参考エディトリアル:
The Lancet, Vol. 374 No. 9686 pp 267-268
by internalmedicine | 2009-07-31 08:43 | 医療一般