軽症CKD: スピロノラクトンの左室容積・arterial stiffnessへの効果

早期腎臓病(CKD)患者に、ACEとARBにスピロノラクトンを追加して、左室容積とarterial stiffnessを改善するかどうか?( (Is Spironolactone Safe and Effective in the Treatment of Cardiovascular Disease in Mild Chronic Renal Failure; NCT00291720))


Effect of Spironolactone on Left Ventricular Mass and Aortic Stiffness in Early-Stage Chronic Kidney Disease
A Randomized Controlled Trial
J Am Coll Cardiol, 2009; 54:505-512, doi:10.1016/j.jacc.2009.03.066

プラセボ比較で、スピロノラクトンnは有意な左室容積改善(–14 ± 13 g vs. +3 ± 11 g, p < 0.01)、pulse wave velocity (–0.8 ± 1.0 m/s vs. –0.1 ± 0.9 m/s, p < 0.01)改善、augmentation index (–5.2 ± 6.1% vs. –1.4 ± 5.9%, p < 0.05)改善、aortic distensibility (0.69 ± 0.86 x 10–3 mm Hg vs. 0.04 ± 1.04 x 10–3 mm Hg, p < 0.01)改善を認めた


結論としては、”早期CKDのスピロノラクトンは左室容積、arterial stiffnessを改善する。この効果はaldosteroneがCKDに心血管に対して悪影響を与え、スピロノラクトンが副事象イベント軽減に寄与する可能性があることを示唆する”というもの。

日本の現行のガイドラインでは、高血圧事例に関して
降圧薬の選択
① 降圧薬は,原則としてRA 系阻害薬( ACEI もしくはARB)を第一選択薬とする
② 降圧目標の達成には,第二選択薬(利尿薬やCa 拮抗薬)との併用療法を考慮する
と記載されている。

論文序文を読むと、KDOQIは変わったのかなと思ったがやはり、降圧治療として、T
he benefit of antihypertensive therapy, especially with angiotensin-converting enzyme inhibitors, to slow the progression of kidney disease is greater in patients with higher levels of proteinuria compared to patients with lower levels of proteinuria
と書かれており、まずは、ACE阻害剤で、含みを残してARBが正しいようだ。

上記論文をきっかけに、記載が変わるか?


k関連記事:テストステロン・サプリメントによる腎障害・血圧悪化影響(動物実験モデル) 2007-08-09

男性ホルモンは心臓には有害、呼吸器には有益に働く?  2007-06-26

男性更年期  2006-05-13

男性更年期のアンドロゲン補充療法・・・・エビデンス無し、リスク可能性大 2004-05-06

低テストステロン状態は死亡リスクが高い  2006-08-15

アンチエージング:DHEAやテストステロン投与の効果なし  2006-10-19

DHEA(S)のサプリメント認可は大人の事情らしい 2006-07-07

by internalmedicine | 2009-07-31 14:49 | 動脈硬化/循環器  

<< ARMYDA-RECAPTUR... 小児感染症抗生剤使用制限のため... >>