中距離走: 嫌気的蓄積量:嫌気的パワーに依存部分が大

中距離競技というのは、嫌気的運動がつきるまでの要素が大きいが、それだけでは維持できない。生理学的にみて興味深い競技である。

ATP-CP Anaerobic Energy Pathway

ATP-CP Anaerobic Energy Pathwayは、時にリン酸系とも呼ばれ、エネルギーの10秒の供給を行う。100m走などが代表で、ATP産生のための酸素を必要とせず、まず、2-3秒筋肉の蓄積ATPが用いられ、次に、主にリン酸クレアチン:creatine phosphate (CP)がATP再合成のため使われ、これがCPがなくなるまで、すなわち、6-8秒使われる。

Anaerobic Metabolism - Glycolysis
嫌気的エネルギー系、解糖系で、ATPが作られ、それは炭水化物が主で、副産物として、乳酸産生がなさえる。嫌気的解糖系は酸素必要とせず(部分的)ブドウ糖の分解によるエネルギー供給である。嫌気的エネルギーは数分以上継続できない、短期、高強度の活発な活動を生じさせ、乳酸閾値に到達するまで生じ、菌痛、灼熱・疲労を生じこの強度を維持できなくなる。


Aerobic Metabolism
好気代謝は、炭水化物・脂肪・タンパクからATPを産生し、嫌気系よりやや緩徐、なぜなら、ATP産生前に筋肉へ運ばれる循環系が重要であるから・・


anaerobic (oxygen independent) store (ANS) :最大酸素摂取量(dot VO2max)より上のランニングを許容する嫌気的パワーをANSと仮定して、嫌気的パワーのtime limitである、tlim PANとして表現

Anaerobic power (PAN) を、tlim PAN = ANS/PANで表現する。


Differential modeling of anaerobic and aerobic metabolism in the 800-m and 1,500-m run
J Appl Physiol 107: 478-487, 2009. 800から1500m走は、嫌気的運動で調整され、最後の数mのすべての時相anaerobic (oxygen independent) store (ANS) で調整されていると考えられ、800m走選手8名、1500m走選手7名に漸増式にdot VO2を求め、最大aerobic powerをもとめ最小時間到達目標にした800m、1500m走を行い、PANを測定

800m、1500m走とも、両競技とも、70%までtlim PANは一定

さらに、1500m走は優位に tlim PANと相関 (r = –0.92, P < 0.01)するが、800m走は相関せず (r = –0.05, P = 0.89、だが、end-race oxygen deficitは相関(r = –0.70, P = 0.05)した。

中距離走では、レース時間の最初の70%まで、瞬間的嫌気パワーでつきるまで維持し、ランニングスピードはANS残存に依存するという仮説に合致する。

by internalmedicine | 2009-08-03 10:54 | 運動系  

<< 新型インフルエンザワクチンの輸... 白衣高血圧・仮面高血圧は長期的... >>