一般住民高齢者の軽度低ナトリウム血症は 死亡リスク因子
2009年 08月 10日
Sajadieh A et al. Mild hyponatremia carries a poor prognosis in community subjects.
Am J Med 2009 Jul; 122:679.
心血管疾患、卒中、がんの既往のない、住民ベースの Copenhagen Holter Study、671名の男女(55-75歳)で、48時間持続心電図モニタリング、血液検査、アンケートを行った
低ナトリウム血症を s-Na ≤ 134 mEq/L 、 以前の定義をs-Na ≤ 137 mEq/Lとした
副事象アウトカムを死亡、心筋梗塞とし、6.3年のフォローアップ中央値とした。
14名 (2.1%, group A)でs-Na ≤ 134 mEq/L、62名 (9.2%, group B) でs-Na ≤ 137 mEq/L.
s-Na < 129 mEq/Lはいない。
副事象アウトカムは Group Aの43%、Group Bの27%、s-Na >137mEq/L (対照)の14% (P <.002)
年齢、性別、喫煙、糖尿病、LDLコレステロール、血圧補正後、副事象アウトカムの補正ハザード比は、 Group A 3.56 (95%信頼区間 [CI], 1.53-8.28, P <.005) in group A compared with controls と、Group B 2.21 (95% CI, 1.29-3.80, P <.005)
ハザード比は、低ナトリウム血症関連単因子補正(ie, β-遮断剤、利尿剤使用、心拍変動、クレアチニン、CRP、NT-proBNP)追加後も、十分であった
利尿剤使用除外後、対照比較補正ハザード比は、Group A 8.00(95% CI, 3.04-21.0, P <.0001)、Group B 3.17 (95% CI, 1.76-5.72, P = .0001)
nonpeptide vasopressin receptor antagonist (VRA)が使用できるようになっているが、果たして、今後使用の見込みがあるのかどうか?(Nephrology Dialysis Transplantation 2009 24(5):1371-1373;)
aafp(http://www.aafp.org/afp/20000615/3623.html)から・・・
低ナトリウム血症とは、血清ナトリウム濃度137 mEq/L未満で、健康推定老人の7%程度が 137 mEq/L以下。横断研究にて慢性ケア施設では15-18%程度存在するといわれている。ナーシングホームでの12ヶ月長期研究では半数に低ナトリウム血症がみられ、加齢関連の総体水分の相対的・絶対的減少は、水バランスのストレスに対して顕著に影響を受け、30-40歳では55-60%だが、75-80歳では、50%と減少する。渇水メカニズムが年齢とともに減少し、ホメオスタシス維持に障害を与え、脱水リスクが増加する。
ADH分泌は加齢の影響を受けないが、一定の血中浸透圧に対するADH分泌は増加し、これはADHへの腎臓の正常な反応欠如を意味する(加齢によるADHの作用効果低下)
老人の水分負荷への分泌能力は低下し、これがテイントリウム血症エピソードを頻回に生む原因となっている可能性がある。水バランスの変化に対する老人の感受性増加をもたらす人生理・解剖の変化は腎臓の量減少、皮質血流、GFR、ナトリウムバランス感受性障害により影響される。疾患や合併症累積に伴い、臨床状況は様々で、調節障害のためにみずバランス減少をもたらす。
口渇感覚、濃縮障害、塩・水ホルモンの調整などが鈍化し、合併症や医原性の影響が大きくなるのだろう。
workup(NEJM 2000; 342: 1581)
・血中浸透圧測定 → hypovolemic・Euvolemic・Hypervolemicとを区別(volume statusvital signs, orthostatics, JVP, skin turgor, mucous membranes, peripheral edema, BUN, Cr ,Uric acid)
・Uosm
(http://www.aafp.org/afp/20000615/3623.html)
by internalmedicine | 2009-08-10 16:22 | 内科全般