冠動脈疾患・死亡率: 楽観性と冷笑的敵意性の関連

optimism(楽観性)は比較的簡単だが、”cynical hostility”を日本語訳どうしたらいいのだろう・・・引用させてもらうと・・・
先行研究における敵意とは,他者に対する猜疑的な見方や皮肉的でネガティブな認知の仕方,態度を示す概念であり,敵意の高さは日常生活で経験されるストレスフルなできごとや苛立ちごとの多さと密接に関連する(Smith & Frohm,1985)。敵意の高い人は他者に対して不信や猜疑心を抱き,冷笑的で否定的な態度をもつ傾向から,対人関係で怒りや恨みを頻繁に経験しやすい(Smith & Frohm,1985)。つまり,敵意の高い人は,対人関係で繰り返し経験される強いストレスから抑うつを引き起こすと考えられる。


追加すると、Cook ・ Medleyで定義された"cynical hostility”は、”resentment(恨み), distrust(不振), cynicism(皮肉) , suspicion(疑念) ”の態度を有する(Psychol Bull. 1996;119:322–34)。社会的サポート欠如とこの敵意性が協調的に冠動脈性心疾患をもたらすという・・・


・・・という要素になうのだろうか?


Optimism, Cynical Hostility, and Incident Coronary Heart Disease and Mortality in the Women's Health Initiative
Circulation 2009; 120: 656–662

怒りと敵意:健康者でも冠動脈性心疾患患者でも予後悪影響 2009-03-11で触れたが、”cynical hostility”は Cook and Medley Hostility (Ho) scale,で計測
Allred KD, Smith TW: Social cognition in cynical hostility. Cogn Ther Res 15: 399-412, 1991.


Optimism は、” Life Orientation Test–改訂版”(参照:http://www.psy.miami.edu/faculty/ccarver/sclLOT-R.html)で評価。


Optimists (最高 vs 最低4分位 ["pessimists"]) は、年齢補正1000名比で、CHD 56 vs 44、総死亡 63 vs 46
Optimists (versus pessimists)はCHDハザード比低い(AHR 0.91, 95% CI 0.83 - 0.99),CHD-関連死亡 (AHR 0.70, 95% CI 0.55 - 0.90)、がん関連死亡率(黒人のみ; AHR 0.56, 95% CI 0.35 to 0.88)、総死亡率(AHR 0.86, 95% CI 0.79 - 0.93)も低い

もっともcynical、hostileな (対比: もっともその要素の少ない) 女性では、がん関連死亡率が高く (AHR 1.23, 95% CI 1.09 - 1.40) 、総死亡率も高い (AHR 1.16, 95% CI 1.07 - 1.27;この減少は黒人で顕著)。

optimismもcynical hostilityも独立した影響であった。



こっそり、分析の中にがん関連死をふくめているのは、ちょっとほほえましい・・・投稿先の問題でタイトルだけを変更したのだあろう。

”cynical hostility”という要素の性格のひとは、”うつ”(Psychol Med. 2009 Jul 17:1-9. )、”PTSD”(Journal of traumatic stress 1994, vol. 7, no1, pp. 21-31 (2 p.)とも関連があるらしい。
解決になるのかわからないが、social supportの重要性は以前から語られている(Journal of Public Health Medicine Vol. 18, No. 2, pp. 221-231 pdf

by internalmedicine | 2009-08-15 11:13 | 動脈硬化/循環器  

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