type Dパーソナリティーと末梢動脈疾患の関連
2009年 08月 18日
Aquarius A, et al "Type D personality and mortality in peripheral arterial disease" Arch Surg 2009; 144: 728-33.
184名の自覚症状ありのPAD(平均年齢 [SD] , 64.8 [9.8] 歳)を4年フォローアップで、16名(8.7%)死亡。年齢、性別で補正後、type D パーソナリティーは死亡の予測因子となった (P = .03)
Ankle-brachial index (P = .05),、年齢 (P = .009)、糖尿病 (P = .02)、肺疾患(P = .09)腎疾患 (P = .02)も予測的因子
多変量ロジスティック回帰にて年齢、糖尿病尾、腎疾患が独立した総死亡予測因子であった(odds ratios, 1.1-2.3)
これらの因子補正後、、type Dパーソナリティーは死亡リスク3倍超(オッズ比, 3.5; 95% 信頼区間, 1.1-11.1; P = .04)
type D 性格、すなわち、"distressed" personalityが提案されているとのこと、冠動脈疾患男性のcoping styleの検討からなされた分類( J Psychosom Res. 2000 Oct;49(4):255-66.)で、negative affectivity (NA; tendency to experience negative emotions) and social inhibition (SI; tendency to inhibit self-expression in social interaction) を特性とするもの
Type D personality subtype は、負の情緒反応と他者との社会的接触を避けるることでその情緒反応を自己抑制しようという傾向を併せ持つ、言い換えれば、悲観的で、不安に満ちており、社会的な能力に欠ける心配性の人である。他者との人的つながりを持ちたがらず、見知らぬ人に対して不安をもつ。
ネガティブな情緒性(negative affectivity )をもつことと、社会的非活動性(negative affectivity)を併せ持つことで定義され、両要素のない一群に比較し、心血管イベントが多いことが判明していた(QJM 2005 98(5):323-329; doi:10.1093/qjmed/hci064 )
うつなどの心理要素と社会的つながりを避けようとする傾向と冠動脈心疾患などの動脈硬化疾患との関連が研究されるようになったが、type D性格とPADの死亡率の関連が初めて報告された。
このdistressed personalityと慢性心不全の関連は、血中のpro-inflammatory cytokine、TNFなどやsoluble receptorなどの増加が示されている。また、type D性格では、HPA系の異常とコルチソール反応増加が報告されている。これらが、作用機序の考察となる。
これらのキャラクターを選別して、社会的介入がほんとにできるのか?・・・日本ではシステミックな介入しがたい状況なので、これらの知識が単なる医療関係者の豆知識に終わる可能性が大
cf. 末梢動脈疾患(Peripheral Arterial Disease:PAD)の運動療法に関する報告
by internalmedicine | 2009-08-18 10:32 | 動脈硬化/循環器