急性気道感染の抗生剤処方率
2009年 08月 19日
著者らの所見では、ARTIへの包括的な処方頻度は研究期間中低下、5歳未満の子供への中耳炎関連診療の減少と、中耳炎無しのARTIへの処方減少が主であった。
しかし、広域抗生剤処方率は有意に増加している。
Antibiotic Prescription Rates for Acute Respiratory Tract Infections in US Ambulatory Settings
Carlos G. Grijalva, MD, MPH; J. Pekka Nuorti, MD, DSc; Marie R. Griffin, MD, MPH
JAMA. 2009;302(7):758-766.
5歳未満の子供で、年ごとのARTI受診率は17%(95%信頼区間[CI], 9%-24%)減少:1883/1000(住民1995-1996年)→1560/1000住民(2005-2006年)
それは主に中耳炎(OM)受診率減少(950→630/1000住民)によるもの
この減少は、ARTI関連抗生剤処方の減少にも関連し36% (95% CI, 26%-45%) 減少 (1216 →779 / 1000 住民)
5歳以上では、ARTI受診は変化せず、しかし、処方は18%(95%CI, 6%-29%)減少( 178 → 146 / 1000 住民)
まれにしか適応でない非中耳炎ARTIの抗生剤処方は、5歳より若年時41%(95% CI, 22%-55%)、5歳以上で24% (95% CI, 10%-37%) と減少
包括的に言えば、ペニシリン、セファロスポリン、sulfonamide/tetracycline のARTI関連処方は減少し、azithromycinの処方率は増加。azithromycinはARTI、OM処方で最も処方の多いマクロライド(中耳診察の10%)となっている。成人ではキノロン処方が増加している。
説明にそぐ手間と労力を考えると・・・国家的にシステミックにやらなければ、抗生剤処方は減らない。これこそ上意下達でやらなければならない問題だろう。
上気道炎に対する抗生剤処方が感染性心内膜炎やリウマチ熱・弁膜症の低下をもたらしたのではないか・・・という疑問にまだだれも答えてくれない。100年前までは若年者(5-20歳)の死亡原因一位だった疾患が現在死亡率激減している・・・ということに対して、医師の多くが抗生剤の利益性を感じている。・・・是非、どなたか全面否定する報告を出していただきたい。
by internalmedicine | 2009-08-19 10:44 | 感染症